屋根材の「瓦(かわら)」ってどんな特徴があるか知っていますか?

お家づくりの打ち合わせが進んでくると、屋根はどんなふうにしましょうか?

という話になってきますよね。

色々見てみるけど、やっぱり何がいいのわからないなぁ、、、という方も多いのではないでしょうか?

ここでは、昔からある屋根材の 瓦の特徴やメリットデメリットをお伝えし、理解を深めていただけたらと思います。

屋根の歴史

日本各地の伝統的民家は屋根のかたちに特徴がよくあらわれています。

屋根をみればどの地域のものかおおよその見当がつき、茅葺き屋根は,北日本のものは屋根曲線がキツく鋭い。これに対して南日本のものは丸みを帯びていて柔らかさを感じさせます。このような違いは、屋根の葺き方や技術、用いる材料の違いなどとともに、それぞれの地域の風土と文化を反映しています。

かつては屋根材料としての茅は全国のどこにでもあったため、茅葺きの家が圧倒的に多くありました。

ちなみに、「カヤ」という学名の植物はなく、アシ、スギ、カリヤス、ススキなどを屋根葺き材料としたときに、これらの植物はすべて茅になります。

農家は茅葺きが普通でしたが、18世紀中頃になると一部の農村の家に瓦茸きがあらわれます。

三重県上野市の町井家は延享元年(1744年)の桟瓦葺き、庇は本瓦葺きの建築であり、農家としてはもっとも早い瓦葺きの例でした。

 

瓦屋根

瓦の歴史

瓦は、古代から建築材料として使用されてきました。最初期の瓦は、地元の素材である粘土や泥を形成して乾燥させたものでした。

初めて瓦が作られた説には、いくつかの諸説があります。

中国の説では、約4000年前に瓦を作ったという記事が中国の古文書『古史考』にあるということから、これを起源とする説。

またメソポタミア説では、紀元前3000年頃にはエジプトやメソポタミアなどの古代文明で瓦が使用されていたとされています。古代エジプトでは、ナイル川の粘土を用いて、屋根や壁などに瓦を使用し、古代メソポタミアでも同様に、日干し煉瓦や粘土瓦を使用していたとされています。

その後、瓦の使用は世界中に広がり、瓦の形状や種類も多様化していきました。

日本で初めて瓦が葺かれたのは

日本で初めて建物の屋根に瓦が葺かれるようになったのは、 今から約1400年前 の昔、 飛鳥の飛鳥寺(法興寺)造営時に朝鮮の百済から寺院建築の技術と共に瓦 作りの技術が伝えられたことによるとされています。

『日本書紀』によれば崇峻元(588)年に4人 の「瓦博士」が渡来したと記されており、後に飛鳥寺は平城遷都とともに、元興寺(がんごうじ)として奈良の地に移されました。

桃山時代

 桃山時代になると、戦国の武将達によって火に強い 瓦が城に使われるようになりました。

安土城の瓦は明の製瓦法(中国明代に開発された陶器製造技術)を伝えたもので、この技術の特徴は、瓦を製造するために、木型と粘土との間に雲母粉を使い、瓦を燻して焼く(燻し瓦)方法で、型を使用して一定の形状に成形するものでした。この製法は、瓦の形状やサイズを一定に保ち、効率的な生産を可能にしました。

この明の製瓦法は、中国の建築や都市化の発展に大きな役割を果たし、現代でも中国や東南アジアなどの地域で使用されています。

江戸時代

江戸時代において江戸の武家屋敷は瓦葺きであった 一方、一般庶民の家は「禁行令」のもと板葺きや昔ながらの草葺きであった上に町家が建て込んでいたために火災に見舞われました。

それでも幕府は民家は当然のこと、国持大名に土蔵以外の建物の瓦葺きを禁止していました。

しかし、この「禁行令」も60年程で廃止され城郭や寺、武家屋敷に限られていた瓦屋根は民家にも使われるようになっていきました。

 

瓦の形

現代でも、瓦は建築材料として広く使用されています。しかし、近年では、環境に配慮した建材の需要が高まる中、瓦に代わる材料が研究され、開発されています。

日本の瓦にはいくつかの形で出来てますが、代表的なものには以下のようなものがあります。

本瓦(ほんがわら)

伝統的な日本の陶器瓦で、赤や茶色などの色があります。

平瓦と丸瓦を交互に組み合わせて並べる葺き方を本瓦葺き、又は本葺きとも呼び、その材料が本瓦となります。

裏瓦(うらがわら)

裏瓦は屋根の裏側に使われる瓦のことを指します。裏瓦は、主に雨漏りや風雨による飛散物から屋根を守るために使われます。また、裏瓦には、屋根の通気性を確保するための役割もあります。

棟瓦(むながわら)

屋根の棟(むね)に使用する瓦で、形状が特徴的です。

以上のように、日本の瓦には様々な形があり、それぞれの役割があります。

また、製造方法や材料によっても瓦の種類が変わります。

瓦の種類

いぶし瓦

炭火で表面を燻して作られるため、独特な風合いがあります。黒瓦、銀色瓦とも呼ばれ、よく焼成されたものはいぶし銀のような色と独特なつやをもち、その風合いは時間が経つにつれて増していきます。

また、燻すことで表面に膜ができ、風雨や紫外線から保護され、膜ができることで燃え広がりにくくなり、防火性が高くなります。そして、自然素材で作られているため、環境に優しく、廃棄物も出ません。耐久性があり長期間使用を期待することができます。

釉薬瓦(陶器瓦)

土や粘土を原料とした天然素材を原料として製造された瓦で、軽くて強度があります。

釉薬を塗ることで瓦にツヤを与えることができるだけでなく、好みの色に仕上げることができ、種類が多いことも釉薬瓦の特徴です。また、優れた断熱性を持ち、表面が滑らかで密度が高く、雨や湿気を防ぐ防水性高いため、屋根や壁面に使用されます。

セメント瓦

セメントを原料とした瓦で、比較的安価であり、耐久性が高いため、住宅やビルの屋根や壁面に使用されます。

他の瓦とは違い、焼かずに仕上げるため、製造中の縮みがほとんどなく、ほぼすべての瓦が無駄なく使えるというメリットがあります。

スレート瓦

粘板岩を原料とした瓦で、防水性が高く、美しい光沢があります。主に屋根瓦として使用されます。

素焼き瓦

粘土で瓦の形を作り、そのまま焼いたものを「素焼き瓦」と呼びます。

赤みが強いため「赤瓦」と表現されることも多いです。独特の赤みから洋風建築と相性が良く、南欧風の建物に合わせてテラコッタ瓦やスパニッシュ瓦と呼ばれることもあります。S字形をした瓦で、屋根の表面積が少なく、美しい外観が特徴です。

日本三代瓦

瓦は、その土地土地で取れる素材を使い、その土地ならではの瓦を生産してきました。

その中でも日本三代瓦として、有名な産地があります。

三州瓦

三州瓦は、愛知県西三河地方で主に生産される瓦の総称で、この地方の旧国名「三州」に由来します。

この地域では、瓦に適した良質な粘土が大量に採れ、又配合粘土、釉薬、窯業機械などの関連産業が集積し、瓦産業が発達してきました。
形状・色彩の多様化、使用する場所に応じた細分化、手造り技術の蓄積など、日本の屋根の伝統文化を継承しながら、機能的進化し続けており、現在では全国の粘土瓦生産量の約70%を占める最大産地となっています。
約1150度の高温で焼き締められた三州瓦は耐久性に優れ、焼き物ならではの質感が生み出す、美しさ・高級感などデザイン性も高く評価されています。(三州瓦工業協同組合

淡路瓦

「淡路瓦」は、兵庫県淡路島で生産される400年の歴史を持つ伝統的な屋根瓦のことです。

淡路瓦は、「なめ土」と呼ばれる粒子の細かい粘土がいぶし瓦に適しており、いぶし瓦の生産量は全国一を誇ります。

淡路瓦の焼成温度は1000℃前後と三大瓦のなかでは最も低いですが、高温で焼かれた瓦なので防火性も十分あります。(淡路瓦工業組合

淡路瓦のできるまで

https://youtu.be/hjom-6mw248

石州瓦

島根県西部の石見地域で生産される石州瓦。日本第2位の生産力を誇る地場の伝統産業です。
山間部は雪深く、日本海に面した町は日本海の荒波にさらされ、しばしば台風の通り道になる石見地方。
東西南北で様々な環境変化がある土地は珍しく、この環境の中で作られた石州瓦は様々な頑丈さをもつように400年前から作られ続けています。
石見地方の町並みを見ると、赤茶色の屋根がたくさんあることに気がつきます。石州瓦の特徴、釉薬瓦の町並みです。(江津市 地場産業振興センター

 

瓦のメリットデメリットは?

これまで述べた特徴をふまえると、

1000℃を超える高温で焼かれた瓦は、熱に強く万が一の火にも耐火性能を発揮してくれるでしょう。

また、雨の多い日本では防水性が最も重要ですが、瓦屋根は裏に回った水が表に排出される仕組みになっており、防水性に優れており、裏瓦で屋根の通気性を確保してくれるので室内の結露防止にもつながります。

そして、今最も騒がれている断熱性ですが、瓦は直射日光を反射し、熱を吸収しないので室内への外気の影響が少ないと言えます。

そして何よりも、美しい外観です。

これは、最近建てたお家の外観で、一文字瓦と言って軒先をきれいに揃えたディールの瓦葺きになります。

日本人ならば、これを見て美しいと思わない人はいないのではないでしょうか?

デメリットとしては、重量があるため、強度の低い建物には設置できない場合や施工に時間がかかるため工期が長くなる場合があります。

そして、イニシャルコストは他の屋根材より高くなることが多いですが、耐久性が50年以上あることを考えると、ランニングコストやメンテナンスコストとの比較で安価になる場合も考えられます。

メリットデメリットを知った上で、他の屋根材と比較して考えてみるのもいいですね。

参考文献:建築資料研究社「和風建築シリーズ”屋根”」

 

その他の屋根材、ガルバニウム鋼板はこちらのブログ

https://www.marusei-j.co.jp/外壁材のガルバニウム鋼板について/

丸晴の職人さんの動画はこちら

https://youtu.be/QxEJ9ik4Onk

 

木造建築で用いられる伝統的な「蟻継ぎ」って何!?

蟻継ぎと言われる継手は、なぜそう言われているかご存知ですか?

その名の通り台形の形が蟻の顔の形だからという説と、蟻の牙の形と言われる説。があるようです。また、鎌継ぎは蛇の鎌首が由来とされ、溝を切るために使う畦挽鋸(あぜひきのこ)は、田んぼの畔道が由来なんだそうです。

このように由来が生き物などに例えられているのには、わけがあって、昔は10歳〜13歳で弟子入りしていた子供にもわかりやすく覚えやすいようにと身近なものに例えられていました。

日本木造建築で用いられる継手

日本の木造建築で用いられる伝統的な切組み継ぎはその効用によってに分類されています。

〜単に長さを増すだけのもの〜

突付(つきつけ)

殺継(そぎつぎ)

 

〜捩れ(ねじれ)の力に耐えるもの〜

目違継(めちがいつぎ)

〜引張りの力に耐えるもの〜

蟻継

鎌継

竿継(竿車知継(さおしやちつぎ))

〜引張りと捩れ(ねじれ)の力に耐えるもの〜

追掛大栓継(おっかけだいせんつぎ)

https://www.marusei-j.co.jp/継手の中で一番引っ張り耐力の高い『追っ掛け大/

他にも金輪継(かなわつぎ)鶍継(いすかつぎ)などがあります。

 

蟻継ぎとは?

引張りに強い継手のひとつで、建築での本格的な使用は中世からと言われています。

引張強度は「鎌」や「追っかけ大栓」には及びませんが、接ぐ長さが短くてすみ、仕口では凹形に加工される通し材の繊維を欠く割合が比較的少ないため、仕口に多く用いられています。

昔は、大工さんが手で刻み加工していましたが、加工精度の均一化、及び作業の合理化が図られ、機械で加工するプレカットが主流になりました。

丸晴工務店では、この「蟻継ぎ」も手刻みしています。(手刻み動画はこちら→https://youtu.be/bPtxsZD1L1M

蟻継ぎの種類

吸い付きあり蟻継ぎ

板の裏面に吸い付き桟を取り付ける手法です。

天板の反りを止める効果と共に、テーブルなどの場合、脚への接合部となります。

天板の収縮にも対応が利く継手。

 

寄せ蟻継ぎ

板はぎや、甲板と幕板接合などに用いられます。女木側に蟻ほぞが入る四角の穴をあけ、蟻ほぞにこれを挿し込んで蟻溝に滑り込ませて引っ張りに耐える構造にしたもの。

これは、神棚を作る際にも用いられています。(動画はこちら→https://youtube.com/shorts/ZBypmAgL9Wk

 

参考文献:誠文堂新光社「木組み・継手と組手の技法」

 

丸晴工務店では、こうした仕口や継手も手刻みで行う、木組みの家を作っています。

現場の様子や手刻みの様子、継手の刻みの様子もYouTubeでご紹介中です。

YouTubeはこちら→https://www.youtube.com/channel/UCrm9-1wp-Or-9W7frbym86Q

 

第6回多摩川建築塾 横内敏人講師の「扇屋根の家」が出来るまで

第6回多摩川建築塾が開催されました。

今回の講師は、「建築家 横内敏人」講師でした。(横内敏人建築設計事務所

時代はどんどん変わり、人の美意識なども移り変わっていきます。

住宅は、変わらないものをベースに設計しないと永く住める家にはならない。と横内さんは言います。

人にとっての変わらないものとは何なのか?

それは、人の「遺伝子」。

これは太古から変わらないもので、この「遺伝子」に伝わるものを作らないといけない。

太古の昔、人は外で過ごすことが多い生活をしており、そんな中で居心地のいいところというのが、「木の下」の木陰。

もう一つは、「ほら穴」のような壁に囲まれた空間。

火があるとなおいいですね。と横内さんは言います。

この開放的空間と閉鎖的空間これらが混ざり合うわけでもなく、いたわり合うように陽の一部に隠を取り込み、隠の中に陽を取り込む。そんな風にして設計をされているそうです。

 

初のプレゼンの前に、建主さんのことを隅々まで知り尽くし最高のプランを考えます。

そして、パースにしてみたときにウキウキ感がなければまたやり直し。

そう繰り返して全力投球で出したプランはだいたい建主さんも気に入ってくれることが多いそうです。

Before 

 

After

 

建築家 横内敏人さんという方は、住まい手さんに近づけるところまで近づき、究極に住うための利便性を考えた設計、それと合わせて、構図としての美しさも考えられた設計を行われているのだと感じました。

他にも、設計するにあたり細かい技術的なところも教えて頂きましたが、今回はこの辺で。

丸晴工務店を含めたくさんの工務店の設計士は、このような勉強を欠かさず、変わり続けていく建築についていきながら、変わらないものをしっかりと持ち続ける努力をしています。

 

丸晴工務店は動画も発信しています。

https://www.youtube.com/channel/UCrm9-1wp-Or-9W7frbym86Q

 

前回の多摩川建築塾は、

https://www.marusei-j.co.jp/第5回多摩川建築塾-三澤文子さんの講義-「新築の/

「スミレアオイハウス」での暮らしについて

<10/21(金)萩原修さん、葵さん講義>
<12/ 3(土)スミレアオイハウス(9坪の家) 見学会>

10/21(金) 第4回講義は萩原修さん、次女の葵さんに「スミレアオイハウス」での暮らしについて語って頂きました。

「スミレアオイハウス」の施主であり、住まい手である萩原さん家族。どのような経緯で9坪の家を建てる事になったのか、どのように土地を探し、計画の中でどのような人達と出会い、完成後、実際どの様に過ごし、感じたかなど体験を通したお話しをして頂きました。設計者からの講義が多い中、施主側の話、気持ちが聞ける貴重な講義となりました。

講義後の12/3(土)その内容を踏まえた上で、実際に東京都にあるスミレアオイハウスへ見学に行ってきました。

・スミレアオイハウス
増沢洵さん設計の「最小限住居」を小泉誠さんがリデザインして、1990年に建てられた建坪9坪の家です。東京都三鷹市にあり、並木道などもある静かな住宅街で目の前には大きな畑がありとても見晴らしのいい場所へ計画されました。夫婦、子供(女2人)合計4人で暮らすことを想定して計画された木造二階建ての住宅となります。

実際現地に行って…
敷地の前を通った瞬間「あっこれだ!」と圧倒されるプロポーションでした。
何と言っても目を引くのは道路から建物を見ると3分の2を覆う大きな4枚のガラス窓でしょう。外壁は白っぽい風合いで屋根は軒を出さずただ箱を置いたようなシンプルな外観、箱に窓を付けたシンプルで何ともバランスのとれたプロポーションだと感じ「最小限住居」という名前からはかけ離れた迫力がありました。

建物へ入ってみると半畳小さな玄関、小上がりの和室、6畳の居間、大きな窓に大きな吹き抜けで建坪9坪だとは思えないほどの解放感がありました。1階に水廻りがまとまっていて2階は小さな机が並んでいました。床材に無垢のパインを使用しており長年使われて日焼けや汚れによって変化した床は古民家のような雰囲気を出しています。
窓に大きな障子があり季節や温度、時間帯よって調整できるものとなっています。ちなみに、夜に外からの障子を見ると行燈のようで非常にきれいでした。

設計が家具デザイナーでもある小泉誠さんということもあり造作家具や間接照明など手の触れるところ、細部まで気配りの感じられる建物と感じました。9坪の家だと「収納が足りなさそう、狭そう」など思うでしょう。しかし、そんなことはありません。大きな窓、
吹き抜け空間、造り付けの収納が備えられてスペースが無駄なく有効活用されているからでしょう。

「スミレアオイハウス」の魅力を肌で感じ個人的に思ったのが、収納の大切さを学びました。これだけ小さな建物、収納力が足りない、狭い、など感じさせない工夫が至る所にあり、収納に関して熟考するいい機会となりました。
皆さんもぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか。

丸晴工務店の動画はこちら

https://youtube.com/shorts/np_Cc6A9tFA

そのほかの建築家の建物見学はこちら

https://www.marusei-j.co.jp/田中敏溥さんのご自宅訪問〜不自由なんだけど自/

継手の中で一番引っ張り耐力の高い『追っ掛け大栓継ぎ』とは?

木造建築には、軸組工法や2×4(ツーバイフォー)と呼ばれる工法があります。

その軸組工法には、木と木を組み、建物の強度を増す、または、古いものを再利用するための継手など、たくさんの技法があります。

ここでは、基本的な継手・仕口・組手についてお話したいと思います。

 

はじめに

木造建築の部材の接合を言い表す用語として、継手(つぎて)、仕口(しくち)、組手(くみて)、差口(さしぐち)、矧ぎ(はぎ)などがあります。いずれも近世の大工書に表れる用語です。

明治39年に刊行され、戦後にまで版を重ねた建築辞書『日本建築辞彙(にほんけんちくじい)』によれば、継手は材を継ぎ足す接合を、組手は桁(けた)や合掌梁(がっしょうばり)など部材が交叉する箇所での接合を、差口は一方の材側面に他材を取り付ける接合を言います。

さらに仕口は、上記の組手や差口をいうとあるので、仕口は角度をもって材を組み合わせる接合の総称と言えます。

また、同辞書に矧ぎの見出しはないですが、実矧、胴付矧などの項目から、矧ぎは板材の長手側面の接合を言うことがわかります。

このような仕口に決定的な変化をもたらしたのが十二世紀末に導入された、柱を貫き通し、柱相互を繋ぐ貫の技術です。当然そこには、柱と柱の内部で交叉する貫材という直交三軸を形作る部材を組むための、それまでになかった仕口や継手の技術が新たにもたらされました。

こうした様々な要因がからんで多様な継手仕口が歴史的につくられてきました。接合部によっては複合的な要因が働き、それに対応するために複雑な形の継手仕口が考案され、その結果、それらは優れた手業を表すものとして、見る人の興味を惹きつけるのです。

 

追っかけ大栓

辞書、教科書に見られるわずかの例を除けば、過去に使われていた継手仕口は、造り方とともに形や名前すら現実の工事から忘れられようとしています。

そんな中、現在でも長い材を継ながないといけない場所や強度の必要な場所での継手として使用されているのが「追っかけ大栓」です。これは、刻みが難しいことから、意匠の面からもこれを使われることもあります。

「追っかけ大栓」は、暦 1200年前後から見られるようになった略鎌が発展したもので、現在の形状になったのは 1400年頃と思われています。この形状は、追っかけ大栓継をはじめとする、金輪継、尻挟継、台持継などに共通した接合形状であり、構造的特徴は、顎と接合部の繊維方向の面圧性能を利用して、伝統構法の継手の中で曲げモーメントに対して最も
高い接合効率を発現しています。

強度について

追っ掛け大栓の強度はどんなものなのでしょうか。

繊維方向どうしを噛み合わせているため大きな耐力を持ち、継手の中でも最も引っ張り耐力の高い継手です。

最大の引張り荷重は、55KN〜65KN程度の値です。

ちなみに、このKN(キロニュートン)とは、

1kN(キロニュートン)が約100kg(キログラム)の重りと同じ力です。

つまり、55kN(キロニュートン)は、約5500kg(5.5トン)の質量と同じということになります。

この荷重に耐え得るというのは、やはり引張り耐力の高い継手ということがわかります。

使用する箇所は?

前述のように、高い引張り耐力をもつ継手のため、水平力による変形で引張り力が働く外周部の梁などで使用されます。

大地震の時には大きな引張り力が梁にかかるため、このような引張り耐力の一番大きな追っ掛け大栓継ぎを使用します。

込栓に関しては、4本打ちをしても耐力的に変わらないため、2本打ちが基本となっています。

 

継手を行う上でまず、地震などの外力などに対しても安全なこと。安全であるということは、単に強さだけを求めることではないのです。もちろん、壊れない丈夫さも必要ではありますが、万が一の場合にも瞬時につぶされてしまうことがなく、たとえ大きく傾いても、住み手が避難できる空間を保持することも大切な機能であるといえます。

そのため、建物の強さを測る実験だけでなく、建物の壊れ方の実験などに参加していくことで、柔軟で強い家づくりができます。

丸晴工務店は、壊れ方の実験をしている講義などに積極的に参加をして家づくりに役立てています。

 

参考資料:『大工塾』加力実験ノート:企画・編集 植久哲男

 

組手を多用する『数寄屋門作り』

https://youtu.be/8ur1i06B8dU

 

継手(つぎて)、仕口(しくち)とは?こちらに書いてあります。

https://www.marusei-j.co.jp/木造建築における木組みの継手仕口とは何?/

北欧家具NIKARIが願う木や森と共存するサスティナブルなあり方

つい先日発売された雑誌「隔月刊CONFORT」に北欧家具で有名なNIKARIが特集されていました。

一昨年、丸晴工務店にもNIKARIの日本で唯一の生産・販売のライセンス契約を締結している『京都・永野製作所』さんがいらっしゃいました。

購入した家具をはるばる京都からニカリのデザイナーでもある永野さんが、濃沼社長との繋がりでお届けに来てくださいました。その時の様子はこちらhttps://youtu.be/3zHBXOzQqvU

丸晴工務店に来て頂ければ見ることもできますので、ぜひ見に来てください。

 

NIKARIは創業1967年に家具職人のカリ・ヴェルタネンによって創業しました。

本拠地となったのは、ハサミで有名な「フィスカース」が300年以上製造を続けたものづくりの歴史ある土地フィスカス村。「フィスカース」が移転し、クラフトやアートの村としての再生が始まり、1993年にその先駆けとして移転してきました。

NIKARIはカリ・ヴェルタネンの後継者として2009年より代表のヨハンナ・ヴオリオが起用されてから世界的に認知されるようになりました。

そして、最も有名な「セミナーチェア」は、NIKARIで初めて量産することになった記念すべき椅子で、ヘルシンキ現代美術館の国際コンペで設計者に選ばれたスティーブン・ホールが、カリが学生に椅子づくりを教えるために作ったものをスタッキングタイプに改良したものです。

カリの願いはビジネスの拡大より、40年を掛けてつくり上げたニカリを次世代につなげていくこと。

伝統技術を継承する現代的な家具づくり、木や森と共存するサスティナブルなあり方を伝えていくこと。

この願いは、今多くの物づくりの人々に伝わっており、丸晴工務店も共鳴し伝統技術を継承した物づくりを続けて

いきます。

丸晴の家具のブログ:https://www.marusei-j.co.jp/センスのいい家具はモデルハウスから学ぼう〜yチ/

2023年丸晴工務店は変わります。

2023年丸晴工務店は進化を遂げるべく、2022年より進めてきたある計画が加速し着々と形になっていきます。

「丸晴工務店って男くさい感じかと思ってたけど、こんなにも繊細なものを作るんだ。」とか、

「丸晴工務店ってこんなもの作るんだ。」と知られていない丸晴を知って頂くため、

また、街の方々や丸晴に訪れる方々が気軽に木の良さをわかっていただけるように、

進化を遂げようとしております。

今後も少しづつお伝えして行けたらと思っております。

では、また次回。

キッチンカウンターの天板(ワークトップ)ってどんな種類があるの?

キッチンの天板ってたくさんあってわからない。

でも、キッチンって毎日使うからあまり妥協したくないし。

まずは、自分で素材について調べてみようかな。

そう思われたのであれば、ぜひ読んでみてください。

特徴が分かれば、自分の性格や生活スタイルに合ったキッチンが見つかるかもしれません。

人工大理石(じんこうだいりせき)と人造大理石(テラゾー)の違い

もともと1965年、アメリカのデュポン社が人造大理石を発明し、1971年から日本に輸入され、その後国内での製造も始まりました。

当時は、同じものとして扱われて、原材料の樹脂に石の粉末、鉱物質、着色料などの充填材を加えて固めたものでした。

しかし、現在では、人工大理石と人造大理石どちらも同じもののように聞こえますが、実は全く別物なのです。

人工大理石とは、

アクリル樹脂やポリエステル樹脂を主成分とした人工素材です。

人工大理石という名称から大理石の成分が入っていると思われがちですが、粉や成分など一切入っておりません。

アクリル系人工大理石は、板状の原板から切り出す部材を接着する「組み立て式」です。
一方、ポリエステル系人工大理石は、型を用いてつくる成形品です。

基本的にメーカーがオス・メスの型を製作し、その隙間に樹脂を流し込んで硬化させてつくります。

型製作には費用がかかるので、大量生産によってコストパフォーマンスを高め、できるだけ製品価格を抑えるのが、ポリエステル系人工大理石の基本的な考え方です。

また、価格の違いとしては、アクリル系樹脂のほうがポリエステル系樹脂よりも高価です。

メリット

・加工がしやすい

・色や模様のバリエーションが多い

・コストパフォーマンスが良い

・割れにくく耐久性がある

デメリット

・天然の大理石と比較すると柔らかく傷つきやすく熱に弱い

・型が必要となり1点ものの特注が難しいものもある

・主成分が樹脂のため高級感や風合いは無く、無機質になりやすい

・研磨入りのナイロンたわしやクレンザーを使用すると、磨いた部分がうっすらと白くなる場合がある

・燃焼すると不完全燃焼による一酸化炭素などの有毒ガスを発生する

 

人造大理石とは、

天然の大理石などを粉砕し、セメントや樹脂で固めた半人工素材です。

セメントで固めたものをセメントテラゾー、樹脂で固めたものを樹脂(レジン)テラゾーと呼びます。

名前は似ていますが、似て非なるものなのです。

人造大理石の特徴として、石を砕いて混ぜるため均一な外観には出来ません。

また、色調も使用する石材に大きく左右されますが、自然な風合いが人工大理石よりは感じられます。

メリット

・人工大理石より硬く傷や摩耗に強い

・色や模様のバリエーションが多い

・自然な風合いを楽しむことが出来る

・汚れが染み込みづらい

・熱に強い

デメリット

・人工大理石と比べると高価

・熱や汚れで変色してしまうことがある

メンテナンス

普段のお手入れとしては、長時間汚れを放置すると着色することもあるので、汚れたらすぐ拭くことをお勧めします。

また、研磨タイプのスポンジは使える製品と使えない製品がありますので、ご確認の上ご使用ください。

 

ステンレスとは

ステンレスの事をよくSUS(サス)と呼びますが、

S=steel鋼

U=use特殊用途(special use)

S=stainless不銹

という事から、SUSといえばステンレス鋼を意味しています。

ステンレス鋼とは、鉄を主成分としこれに10.5%以上のクロムを含有した合金鋼で鉄に比べ耐食、耐久性、耐熱性、加工性美観において非常に優れた金属です。

また、環境に対してもステンレスは100%リサイクル可能な材料として高く評価されています。

ステンレスの語源は

stain=しみ、よごれ、汚染

less=のない、できない

訳すと、さびないという意味でstain less、ステンレスと呼ばれる様になりました。

サビないしくみ

鉄にクロムを添加するとクロムが酸素と結合して鋼の表面に薄い保護皮膜 (不動態皮膜)を生成します。この不動態皮膜がさびの進行を防ぎます。またこの不動態皮膜は100万分の3mm程度のごく薄いものですが、大変強靭で、一度こわれても、周囲に酸素があれば自動的に再生する機能をもっています。

ただ、ステンレスは絶対さびない金属ではなく作られている不動体皮膜がほこりや鉄分、塩分を含んだ雨水などによって破壊された場合には、さびが発生しやすくなります。また、キッチンカウンターなどでは、もらいサビと言って鉄鍋などを長時間置いたままにしてサビが付着してしまうとサビの原因にもなります。

これらのサビは磨けば落ちることが多いですが、落とすのも大変なものもありますので、普段から乾いた布などで天板を拭いておくお手入れはしておくのが良いのかもしれません。(これはステンレスだけでなく、木の天板など他の天板にも言えることかもしれませんが、、、)

メリット

・水やさびに強い

・油など汚れにも強い

・匂いがつきにくく衛生的

・人造大理石と比べると少し安い

デメリット

・無機質な感じになりやすい

・時と共にステンレスの光沢が無くなる

・もらいサビがつくことがある

メンテナンス

もらいサビなど発生してしまった場合は、市販で売っているクレンザーと緑の研磨面がついているスポンジでゴシゴシこすり落とします。水で洗い落として、まだ落ちていないようならこれを繰り返します。

表面仕上げ

ヘアーライン

ヘアラインは研磨ベルトを使い、わざと表面に細長い筋状の研磨目を付ける方法です。

バイブレーション

バイブレーションは、多軸水平研磨を用いた無方向性のヘアライン研磨仕上げです。こちらもすじ状の磨き目が入りますが、方向がランダムなことが特徴といえます。やや光沢を抑え、落ち着いた雰囲気がでます。

エンボス

エンボスは、エンボス用ロールやエッチングでの圧延処理によって作られます。エッチングとは、薬品による化学反応で金属をわざと溶解させ、表面に凹凸をつくる方法です。

表面の凹凸で傷が目立たない仕上げです。

鏡面仕上げ

冷間圧延後に熱処理、酸洗いなどを行い、軽く冷間加工することによって光沢を与えた仕上がりを実現したもの。

店舗などでも目にするとてもメジャーな方法です。

 

木の天板

メリット

・柔らかな雰囲気になる

・オイル仕上げであれば手触りがいい

デメリット

・汚れやシミがつきやすい

・木の反りなどでシンクやコンロに隙間ができてしまうこともある

メンテナンス

汚れやシミになりやすい素材のため、普段から水や汚れがついたらすぐ拭き取る。

 

まとめ

人造大理石であれば、色や柄など選ぶ種類が多く、インテリアに合わせたものを選択でき、ステンレスは一見無機質になるかもしれませんが、設計によってはとてもシンプルでおしゃれな空間が広がります。

また、木の天板は風合いを楽しむので、こまめな拭き取りが必要ですが、シミも「一つの物語」と思える方は、素敵なキッチンに仕上がるのではないかと思います。

ご自分の好み、また生活スタイル、ご予算などでお好きな天板を選ぶのがいいですね。

また、一つの素材でも何十種類とありますので、ぜひご自分に合った天板を見つけてください。

そのためにも、天板は実際に見に行き触ってみることをおすすめします。

キッチンはいろんなシチュエーションで使うものなので、肌触りだけでなく、水に濡れたらまな板が滑りやすいか、固さ等、何年か経った時にどうなるのか、ショールームの方に質問してみるのもいいですね。

また、メンテナンスの方法も合わせて質問しておくことも忘れずに。

 

その他素材について書いたブログはこちら

https://www.marusei-j.co.jp/外壁材のガルバニウム鋼板について/

 

参考文献:ステンレス協会 https://www.jssa.gr.jp/contents/about_stainless/key_properties/

    :シゲル工業https://www.shigeru-k.co.jp

    :コーティングMAGAZINEhttps://www.y-skt.co.jp/magazine/knowledge/guide-stainless/

第5回多摩川建築塾 三澤文子さんの講義 「新築の仕事と改修の仕事」

第5回多摩川建築塾 三澤文子さんの講義
「新築の仕事と改修の仕事」

今回は、多摩川建築塾で良くお話しをして頂いております、三澤文子さんの講義でした。

時代が変わっていき、生きていくために何を重視していくのか、
人の豊かさ、安らぎというのは
地域材と手仕事という温かみをもつ仕事にこそ隠されていて、必ず人はそこに帰ってくる。それが、木の家づくりの最大の魅力なのだそうです。

そんな想いを、
事例をもとに、どんなプロセスで設計されたかをお話しして頂きました。
「私は、必ず小さな段差でもスロープをつけるようにしているの。」と、住まい手さんの10年20年30年先の住まい方を思い描き設計されて、改修のところでは、常に勉強をし、治す力を身につけていくことの大切さ。いかに安心で安全な家に復興させるかを教えて頂きました。

また、途中にあった土中環境を改善していくお話も土の中に空気や水の通り道を作ってあげるという「有機アスファルト」はとても興味深い内容でした。

様々なお話で大変勉強になり、そして素敵な建築の数々のお写真で見ていてとても楽しい講義でした。
三澤文子先生ありがとうございました。

以前にも書いた多摩川建築塾のブログはこちら

https://www.marusei-j.co.jp/第6回多摩川建築塾%E3%80%80三澤文子さんによる講義/

 

丸晴工務店のYouTube

https://youtu.be/cmduWPuy7NQ

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