土間ってどんな種類があるの?一般的なのはコンクリート?

みなさんは、「土間」と聞いてどんな土間を思い浮かべますか?

また、土間が気になるあなたは、何の目的で「土間」が必要と考えるのでしょうか?

昔の町屋のような趣のある土間は、近年ではすっかり見なくなりました。

室内空間と外空間の、その間。その空間がとても暮らしを豊かにしてくれます。

玄関土間に小さなベンチでもあれば、人が訪ねてきて少しの長話も靴を履いたまま気兼ねなく話せます。

中庭に続いた土間であれば、自分がお手入れをした庭を見ながら、小休憩も取れます。

自分の大切な時間を過ごせる場所として、土間を作ってみてもいいかもしれません。

さて、そんな土間にはどのような種類、どのような特徴があるのでしょう?

たたき

たたきは土間の代表的な例の―つで、粘土・山砂利・消石灰の3種類で混ぜ合わせたことから、三和土とも書き、塩化マグネシウムが主成分であるにがりを混ぜ、小槌などで叩いて仕上げたものです。セメントがなかった時代の床仕上げ、基礎、井戸枠、便所の溜壷などに用いられました。

たたき仕上げは、各地で産出される山砂利を主材料とすることから、産地名をつけた名称で呼ばれる場合が多いです。代表的なものでは以下になります。

京都の深草たたき

深草たたきは、京都市伏見区深草の深草土と呼ばれる土を利用します。

深草土は、赤みがかった色で、砂利との混合比が高く、表面がざらついた質感になります

岐阜県の白川たたき

岐阜県白川村の白川土を使ったもので、白く細かい粒子で、石灰との相性が良く、固まりやすいという特徴があります。

愛知県の三州たたき

愛知県三河地方の土で、赤みがかった色と粘り気が特徴です。砂利との混合比が高く、表面がざらついた質感になります。

長七たたき

明治時代に活躍した愛知県三河地方の服部長七(はっとりちょうしち)による長七たたきは、その堅さから人造石とも呼ばれました。

 

これらは、主に花崗岩(かこうがん)の分解などによって生じたシリカ質の高い珪酸蕃土を多く含んだものです。

産地によって土の性質が異なることや、同じ産地であっても採取する層によって組成が違うため、一定品質の材料をつくることは困難です。

地方によっては風化花崗岩を多く含む山砂利と、粘土を別々に配合し、シリカ質を高める場合もある。また、最近では耐久性をもたせるため、セメントを混ぜるケースが増えています。

 

工法

握りしめて崩れない程度の堅さにした配合土を10センチ程度にならし、それを半分の厚さにまで叩き締めます。用具はタコやカメと呼ばれるたたき専用の木製の道具や、たたき板です。

更に2層目を同様に10センチ程度にならし、再度叩き締めます。

表面強度を高めるため、2層目は1層目より風化花崗岩(山砂利)を少なくします。この時、土の塊を十分に崩してから用いないと、施工後に硬化不良で穴があく場合があるので注意が必要です。

叩き終えたら水分を保つためにビニール等で養生を2〜3日行います。

水分を含有していると水硬化し、さらに空気中で緩やかに気硬化していくので、どんどん硬さを増すのが、たたきの性質です。

 

 

洗い出し

洗い出し仕上げとは、セメントに玉砂利や砕石を入れた上塗り材料が完全に乾燥しないうちに噴霧器等で水洗いし、砂利を表面に浮かび上がらせる工法です。

発生は、明治政府の権力を表現するのに都合の良い、官庁や銀行建築等の古典主義様式に由縁します。日本では一般的でなかった積石構造の表現を、お雇い外国人建築家たちは技術力の高い左官に、それに似せた人造石として求めました。江戸期まで、日本の左官技術で表層を洗ったり、削り落とすという工法はほとんど見あたりません。欧米から削り落として仕上げる工法と水和硬化性のセメントが伝わったことによると考えられています。

また、洗い出しには、石の種類がたくさんあるのと同様に、混ぜ合わせたり、形の大きさの違いだったりとたくさんの種類があります。

大きさには1分・2分・3分・・・と石の大きさで分けられております。

玄関土間などは、主に1分、2分が多いです。

大きさによって見える印象も違ってくるので、お好きな雰囲気に合う石の大きさを選ぶと良いかもしれません。

 

玉の大きさ2分(乾燥時/濡れた時)
大磯2分(乾燥時/濡れた時)
大磯2分 洗い出し見本
玉の大きさ2分(乾燥時/濡れた時)
南部2分(乾燥時/濡れた時)
南部2分 洗い出し見本

洗い出し工法

1、墨出し

目地割りを行う。

 

2、吸水調整

吸湿調整剤を塗る。

 

3、目地棒の張り付け

セメントペーストを塗って目地棒を固定し、新しい目地棒は石灰水であく抜きしてから使う。

目地棒を張り付ける事によって、洗い出す際に材科のずれを防ぎます。

 

4、アマこすリ・上塗り材塗り付け

アマをむらなく塗り、その上にモルタルと種石を混ぜた上塗り材を塗り付ける。

骨材を混入しないセメントペーストか、混入するセメントモルタルかで作業性や硬化後の物性が異なります。ペースト工法は作業性が高く、仕上げ精度がよくなります。一方、モルタルエ法は構造体と一体になるため耐久性が高く、種石をより大きく出すことができます。

 

5、 伏せ込み

仕上がり面に種石が現れるように表面のアマをブラシで2回程度拭き取る。石の並びを調整し、人造錢で伏せ込む。

厚手の人造錢で種石を均一にします。水引きの乾燥具合を誤ったり、長く錢で伏せ込んでいると下地との界面でずれせん断が発生します。仕上げ層の水引きを均一にするため、新聞紙を張り付けてその上に張り粉と呼ばれる石灰やセメントの粉を塗り、表面の水分を吸収させます。

 

6、洗い出し

刷毛で表面のアマを拭き取り、噴霧器でむらなくアマを洗い流す。

表面の余分なアマを刷毛でよく拭き取ります。噴霧器を用いず、この作業だけで仕上げとすることも可能です。最近では硬化時間を調整できる硬化遅延剤を用いる工法もあります。大きな種石を使う場合は洗い出さず、セメントを塗り付けた後に一つ一つ埋め込む『埋め込み工法』を用います。

なお壁を仕上げる際は、普通の左官材料と異なり下段から塗り付けていきます。種石材料の質量が大きいので、積み上げるようにして塗るとよいです。さらに、洗い出し時の水が下方に流れるので、時間調整ができるオープンタイムとして使え、仕上げ時を統一できます。

 

7、目地棒抜き取り

半錢の剣先を目地棒に差し込み、目地角が崩れないように抜き取る。

8、目地塗り仕上げ

ノロのみではひび割れを起こすため、上塗り材に寒水石を混入する。

9、酸洗い

塩酸を10倍程度に薄めて表面を洗い、清水で酸が残らないよう十分に洗い流す。

メリット・デメリット

メリットは、骨材や砂利の種類の大きさや色によって、様々な表情をもちます。

また、凹凸ができるため滑りにくいです。

デメリットは、一般的なコテ仕上げやタイル張りに比べて工程が多く、洗い出すタイミングを天候や気温などで判断するなど技術を要します。そのため材料費や人件費がかかります。

また、経年劣化や高圧洗浄による砂利で剥がれてきてしまう可能性があります。

 

コンクリート

コンクリート土間とは、地面に直接コンクリートを流し込んで平らに仕上げたものです。

駐車場や玄関アプローチ、物置などに使われます。コンクリート土間は、以下の手順に沿って作業を行います。
コンクリート土間を施工したい場所の土を30cm以上掘り起こします。掘り起こした土は別の場所に運んでおきます。掘り起こした地面は転圧機や棒などでしっかりと固めます。

工法

1、砕石

掘り起こした地面の上に砕石を均等に敷き詰めます。砕石は5~10cmの厚さが目安です。砕石を敷き詰めたら、再度転圧機や棒などで固めます。

2、型枠

コンクリート土間の形や高さを整えるために、木材やブロックなどで型枠を作ります。型枠はしっかりと固定しておきます。型枠の内側には水が溜まらないように勾配をつけます。一般的には2~3%の勾配が推奨されます。
次に、コンクリート土間の強度やひび割れ防止のために、ワイヤーメッシュを型枠の内側に敷きます。ワイヤーメッシュは砕石の上に置き、コンクリートとの間に隙間ができないようにします。ワイヤーメッシュは型枠の端から5cm程度離しておきます。

3、コンクリート

コンクリートを型枠に流し込みます。コンクリートは既に砂と砕石が配合されたドライ生コンを使うと便利です。ドライ生コンは練船に入れて水を加えて混ぜるだけで使えます。コンクリートの量は施工したい面積と厚さに応じて計算します。一般的にはコンクリートの厚さは10cm以上が目安です。コンクリートを流し込んだら、スコップや棒などで空気を抜きながら均等に広げます。

コンクリートを流し込んだら、コテやレーキなどで表面を平らに仕上げます。

コテは良質なものを使うと仕上がりが綺麗になります。コテで表面をならしたら、乾くまで放置します。乾くまでに雨やほこりなどが付着しないように注意します。乾くまでの期間は気温や湿度によって異なりますが、一般的には1週間程度とされます。

メリット・デメリット

コンクリート土間は、水はけがよく、掃除は水で洗い流したり、ブラシでゴシゴシと擦って簡単に行えます。耐久性も高くメンテナンス費用も抑えられます。

しかし、温度の変化や乾燥などによってひび割れを起こす可能性があります。

 

 

参考文献:「CONFORT 土と左官の本」建築資料研究社

写真提供:日本玉石株式会社http://www.nihontamaishi.co.jp

 

このブログに載っていた施工事例はこちら

https://www.marusei-j.co.jp/work_post/タタミリビングの家2/

 

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左官工事である自然素材の漆喰「しっくい」を知ってみよう。

はじめに

石灰山の石、海の貝や珊瑚、そして、海藻と麻と紙、

それらを原材料とするのが漆喰です。

そのおだやかな白い壁は、飛鳥の昔から、建物と人を守ってきました。

コンクリートや化学製品のように強靱ではなく、クロスや塗装のように手軽ではありません。

しかし、その壁に包まれるさわやかさ、年月を経るごとに増す自然な味わいは、ほかでは得ることのできないものです。

漆喰あるいは石灰を使った左官の技法はさまざま。

その伝統と新たな可能性をどうぞ知ってください。

 

漆喰の歴史

漆喰の歴史はとても古く、日本だけではなく世界中で使われてきました。

今から5千年前、エジプトのピラミッドの壁に使われたのが漆喰の起源です。

ピラミッドの他にも、古代ギリシャやローマ時代の建築物にも使われていたことが、 アクロポリスの神殿やポンペイの遺跡から判明しています。 これらの文明では、漆喰は絵の具を石灰に染み込ませて壁を装飾する手法に用いられました。

これが後に、イタリアルネッサンス時代のフレスコ画として確立されました。

あの有名な、1495年に制作されたレオナルドダビンチの名作「最後の晩餐」の下地も漆喰です。 その後、壁を装飾するだけではなく、壁全体を覆う壁材へと進化し、様々な建築物に盛んに使われました。

それから、シルクロード、中国、1300年前の日本へと、漆喰は渡ってきました。

飛鳥時代、奈良の高松塚古墳やキトラ古墳などに使われ、 奈良時代初期の壁工事には主に白土が上塗りとして用いられましたが、奈良時代後期から平安時代初期にかけて漆喰塗りの上蔵が造られるようになります。しかし、漆喰は多最の燃料を必要とする石灰や米粥の糊分を用いるため、大変高価な仕上げであり、寺院や貴族の宮殿などのごく限られた建築に採用されたにすぎなかった。 桃山時代に鉄砲が伝来すると、この新たな武器に対抗する必要から城郭が石組・塗壁・瓦葺きとなり、外壁は防火や防弾を目的とした厚い土壁で施行されるようになりました。

平安時代など、セメントが無い時代に高級建材として広まり、様々な建築物に使われるようになりました。

戦国時代には、漆喰の優れた防火性と耐久性が認められ、城郭建築に使用され、 その中の1つ、姫路城は漆喰壁の白さから「白鷲城」と呼ばれ、今でもなお、世界遺産として、その輝きを放っています。

江戸時代以降は、お城以外にも商人屋敷の土蔵や神社仏閣、 明治維新後には鹿鳴館などの洋風建築物にも漆喰が取り入られました。 現代もなお、それらの建築物は丈夫に姿を残しています。

 

そもそも漆喰「しっくい」ってなに?

石灰石の主成分は炭酸カルシウムです。これを焼いたのが生石灰(きせっかい)で酸化カルシウムです。

これを水で消化させると、高熱を出しながら消石灰になります。これに糊やスサを混ぜたものが一般的な漆喰です。

 

「貝灰」かいばい SHELL ASH

石灰石を焼くより早くから使われていたのが、貝殻を焼く貝灰です。桜灰とも呼ばれます。

これには、牡蠣、しじみ、アサリ、赤貝など、さらに、ドブ貝などの淡水貝も使われました。質がいいのは牡蠣灰だとされています。

このほか、和歌山、鹿児島、沖縄、奄美諸島では珊瑚を焼く珊瑚灰もありました。

貝殻はたやすく手に入れることができ、700度くらいと、石灰石よりも低温で焼けます。古くは地面を掘って流木で焼いて、それを水で消化して粉末状の消石灰を得ます。

石灰石を焼いた石灰に比べて比重が軽く、強度は低いのが貝灰の特徴。また、貝灰でつくった漆喰壁は亀裂や割れ目が生じにくいといわれています。石灰と混ぜて使われることもあり、その方が施行しやすいともいわれていました。

色はピンク、黄色、グレーがかったものなどさまざまであり、ホタテがもっとも白いです。

石灰より光沢がやわらかでやさしく仕上がるという意見もあります。また、漆喰を練った次の日、貝灰だと糊を補充しなくてよいといいます。

貝灰の工場は、海に近い川沿いにあることが多く、かつてはさまざまな地域で焼かれており、地場の需要に応えていました。しかし現在、貝灰を製造しているのは数社で赤貝を使われていることが多いそうです。平貝などに比べて赤貝は丸みを帯びているため、空気の通り道ができて、均一に焼けやすいといわれます。

貝灰が使われなくなってしまった理由は、石灰石による石灰が安価に手に入るようになったこと、そして貝は積み上げておいたときや焼くときのにおいが嫌われ、住宅地に近い場所だと操業ができなくなってしまったからだといいます。

一方では、もともと貝殻は捨てられるものであり、再生可能な資源でもあるから、リサイクルという意味で注目されつつあります。養殖によって大量に出されるようになったホタテの貝殻を用いて左官材料にしている例もあります。

この場合は、伝統的な製造、使用方法が踏襲されるのではなく、調湿性や有害化学物質の分解といった機能性がポイントとなっているようです。

 

「石灰」せっかい・いしばい LIME

漆喰に使われる消石灰は、石灰石を焼き(生石灰)、水を加えて消化(水和反応)させて得られるものです。

はるか昔、海中や海底の生き物の遺骸が堆積(たいせき)し、隆起して陸地となったのが石灰岩。

貝や珊瑚と石灰石は、時間のスケールを大きく、地球規模で捉えてみれば仲間だということです。

石灰石は、資源の少ない日本で自給できる唯一の資源とされ、全国に広く分布し、埋蔵量も豊富です。 石灰はアルカリ性であり、酸性の中和、不純物の除去、水和発熱性、脱臭、殺菌などさまざまな特質をもちます。

その用途は幅広く、鉄の精錬、セメ ントの原料、肥料や飼料の原料、水の浄化や汚泥処理、酸性土壌の改良、化学品の中和、水害時の防疫、ごみ処理場の排ガス浄化、砂糖の精製、こんにゃくの凝固剤などです。

身近なところで は、運動場のライン、乾燥剤、 日本酒の自動燗付けにも使われています。

全体の生産量からすれば、漆喰に使われる 消石灰は極めてわずかなものです。

工業用と左官用の石灰づくりは、規模も異なります。

現在、主流となっている工業用の石灰は、重油を燃料とし、近代的な大型石灰焼成炉において強制通風環境で焼成されるが、 左官用の消石灰には、昔ながらの塩焼き法が適しているとされています。これは、 トックリ型の 土中窯に石灰石と石炭を交互に入れ、工業塩を散布し、900度~1200度で半日ほどかけてゆっくりと焼成するものです。

焼き上がったものは下部から取り出します。これが生石灰で、原石の半分くら いの重さになっています。 生石灰10トン に対し、水を3000~3300リッ トル加え、熟成させると粉末状になります。これが消石灰です。

生石灰を藁でつくった俵に入れ、倉庫内に長期間放置し、大気中の湿気を吸収させることによって自然に消化さ せ、「改良灰」と呼ばれる消石灰をつくる地域もあった。粒は均一ではないものの品質がよいとされるが、つくるのに時間がかかるため、現在では特別な場合を除き、つくられていません。

生石灰を消化させるとき、多量の水を用いることによって、ペースト状に したのが「生石灰クリーム」と呼ばれ るものです。水を加えた時点ですでに消石灰に変化していますが、強度が出る、磨きに適しているなど、消石灰とは別の特徴をもつといわれている。現場で生石灰を消化させて生石灰クリームをつ くり、独自のレシピで材料を調合する左官もいます。

ヨーロッパではこの生石灰クリーム 長期間熟成させ、砂を混ぜたものが、 壁の材料として使われてきました。これに対して日本の主流は、消石灰に糊とスサを混ぜる漆喰です。
なぜ、そのような発展をしたのか不思議な気もしますが、生石灰自体は水を加えると発熱し、火災の危険性をもつ ため、流通にのせにくい素材だったためだといいます。

 

「糊材」のりざい MARINE PLANTS PASTE

糊は日本独特の左官材料で、中国にはあったとされるが、西洋にはみられないものです。奈良時代の文献に、当時は米粥が使われていたとあり、海藻を煮た液体が使われるようになったのは江戸時代からといわれています。米粥より安価なことから広く普及し、一般的に漆喰に欠かせない材料です。

糊をまぜる主たる目的は、材料の伸びを良くし作業性を良くすることと、塗りつける材料の水持ちを良くすることです。水持ちが悪いと早く乾燥したり下地に水気を奪われたりして固まってしまい、鏝(こて)をあてていられる作業時間が短くなってしまいます。水引き(水分を奪われること)を遅くできれば、壁をさわっていられる時間が延び、施工がしやすくなります。

素人なら誰でも思うのが、糊に壁を固めたり、強くする効果はないのかということです。しかし、漆喰が固まるのは石灰のためで、糊に期待されるのは先述した効果だけ、と言われています。

しかし、千葉県で海藻糊を販売する吉田鉄五郎商店の吉田鉄太郎さんは、「まだまだ学理的に解明されていないことも多いのでは」と語ります。

漆喰の中の糊分自体は時間が経つと石灰に同化し消えてしまう。しかし、高松塚古墳など、長い時間残っている漆喰のいくつかに海藻の胞子が見られるといいます。つまり、丈夫さに海藻糊が寄与していないとは言い切れないのではないかということです。海薬に含まれヨード、ミネラル、金属など陸上植物にはない成分が、石灰と結びつくことで、漆喰を強くしているのではないか、と吉田さんは話します。左官・久住章さんも、糊を入れるとドライアウト(早く乾燥しすぎて固まらないこと)を起こさないし、漆喰が堅くなる効果はあると言います。

さて、海藻は収穫されると筵俵(むしろだわら=わらで編んだ敷物で作った俵のこと)に詰め、蔵囲いといって蔵で熟成され、古いもののほうがよいとされます。それを焚いてふるって使用します。

代表的な糊用海藻に、銀杏草とツノマタがあります。銀杏に似た形のものを銀杏草、巻きが強く角のような形をツノマタというとされますが、実は海藻の分類は単純ではありません。

日高、釧路や青森東部、岩手北部では銀杏草である海藻が、岩手中南部、房総あたりではツノマタの形になります。

「銀杏草のほうがツノマタよりゼリー分が少ないのでプリプリせず施工しやすいけれど、和歌山や熊本ではツノマタのほうが好まれる」(吉田さん)というように、少々の違いはあるようですが、ほぼ同じものと見ることもできます。また、板ふのりは山口県萩市周辺や四国の一部で好まれる糊材だといいます。
海藻糊を蒸気浴させ乾燥・粉砕した粉ツノマタ、またメチルセルロース系やポリビニールアルコール系の合成化学糊も、最近ではよく使われています。

 

「スサ」FIBER BINDER

塗り壁は、乾燥して収縮するさいにひび割れを起こします。それをふせぐつなぎ役として入れられる繊維がスサです。他にも、スサの役割には、水持ちをよくすることと、鏝をすべらせて塗りやすくすることなどがあります。
基本的に漆喰に使われるのは麻スサです。

麻スサのほうが藁スサより細く、3ミリ前後の薄い仕上げ塗りである漆喰には適しています。また、藁スサのように黄色いアクが出ないため、白さを身上とする漆喰にとっては都合がいいのです。
麻スサの原料には、昔は麻でつくられていた漁網などが使われていたといいます。現在は、ロープや穀物の入っていた南京袋やコーヒー豆袋などの麻袋などが使われています。使用済みのコーヒー豆袋はブラジルやバングラデシュどから輸入されてくるそうです。
麻袋を細かく断裁し、次亜塩素酸15~20パーセント液のプールで数度晒して(さらして)、漂白します。漂白され細かくされた本スサは、仕上げの漆喰上塗りに使われますが、わたのように美しい色でふわっとしています。麻スサは、中塗りの砂漆喰や、屋根をとめたり軒などに使う屋根漆喰にも使われます。その場合はそこまでの白さは必要ないので、無漂白のものや、もっと粗いものが使われます。白毛(しらが)スサ(マニラスサとも)や屋根スサなどがそれです。またあえて未晒し(みざらし)のものを、自然な風合いとして好み、仕上げ用にも使う人もいます。漂白したものより繊維が強いという長所もあります。通常販売されているものより短く切った麻スサを求める人もいるようです。

その理由として、少し高くついても、混ぜやすく時間がかからないことをあげています。また、短いほうが1本のスサに絡む泥の量が少なくなるので、泥が収縮するときにスサを引っ張る力が相対的に減る。つまり同じ太さならば短い方がつなぎ役としての負担が少ないわけで、結果的に割れにくい壁になるといいます。

もっと上等な漆喰で純白の仕上がりを目指す場合には、もっと繊維が細かい紙スサを入れます。和紙を水に浸し、棒で叩いて繊維をバラバラにしたものを、漉(こ)して材料に混ぜます。以前は商家の大福帳(日々の売買の勘定を記入した元帳)などの不要になったものが用いられていたようです。

意匠的にスサを入れる場合には、上記のスサに限らず、藁なども使われます。

 

漆喰の仕上げとは?

左官技術は地域性による違いが大きく、漆喰も、各地でさまざまな工夫がなされてきました。調合や技法も季節や現場、職人によってさまざまで、定義は難しいですが、それがおもしろさでもあります。
漆喰仕上げにおいても、素材と技術を極め、完成度や洗練度を追求してゆく方向性がある一方で、手に入りやすい材料を使った素朴な仕上げもあります。

「おさえ」

伝統的な漆喰の仕上げの代表は、「おさえ」です。

塗った後、水引き加減を見ながら、表面を金鏝(きんごて)でおさえて仕上げます。できあがった表面は平滑で、麻スサは隠れてしまい、プレーンな白い壁となります。

「漆喰磨き」

一方、昔から最上級の仕上げとされてきたのが「漆喰磨き」。表面はさらに平滑で緻密になり、艶が出ています。

ていねいに上塗りした後、一番上にノ口という、漆喰を漉(こ)したペースト状の材料を塗り付け、磨き鏝や手ごすりで丹念に磨きをかけます。キーッという音が出て熱が出るほど手で摩擦を起こし、中の水分を出して艶を出すのです。

うまく仕上がれば、鏡のように周囲を映すほど光沢が出ます。非常に難しい技術と膨大な手間を必要とする仕上げで、左官職人にとっては腕の見せどころともいえる。

美しいだけでなく、壁面の耐水性や堅固さも向上するこの仕上げは、蔵や商家などにおいて、ステイタスの表現として使われてきました。。奈良や滋賀では、かまどの漆喰磨きも見られました。

他にも黒磨きと言われる黒の漆喰を使った「旧村山快哉堂」

店舗入口からは裏手、降り合う母屋から見れば正面にあたるところに、大坂戸と観音扉があります。

引き戸式の大坂戸には髪形の白い漆喰がリズミカルに配されています。これは鉄製の引き手を上下にずらして取り付けることで、うまく体重がのり、塗り籠めのひじょうに重い扉がすうっと開くという仕組みです。機能が見事に意匠と結びついています。
観音扉は防火扉として、いかに隙間なくおさめられるか左官職人の腕の見せどころ。
しっとりと光る黒漆喰磨きを、正確に形づくられた自の直線が引き締めます。

所在地/埼玉県志木市中宗岡5-7040-2
tel 048-473-1111(志木市教育委員会)
復元左官工事/加藤吾(加左官工業所)、宮沢喜市郎

 

「なでもの」「なできり」「パラリ仕上げ」

これに対して、塗りっぱなしで簡便に仕上げるのが「なでもの」「なできり」。「パラリ仕上げ」もこれにあたり、目の粗い石灰の塊が表面に浮いて小さなぶつぶつが出たものを指します。京都御所もパラリで仕上げられています。桂離宮のパラリ仕上げも有名ですが、これは表現としてのパラリで、石灰の粗い粒子をあえて入れ、鰻波もきれいに消しています。

「蛇腹引き」

「蛇腹引き」と聞いてあぁ、あれ。とわかる人も少ないと思います。

このように天井と壁の取り合い(入り隅)のところに模様のついた塗り壁のことです。

左官の古くからある左官工法で、明治から昭和初期にかけて西洋建築の装飾に対応するために蛇腹引きと石膏彫刻という技法が出来ました。蛇腹引きとは、生乾きのうちに盛り上げた漆喰又は石膏を、引き型という型を引いて装飾を施す工法です。石膏彫刻とは、元型を寒天(現在はシリコン)を用いて型取った母型に石膏を流しむ事で得られる複数の装飾品を、さらに細かな細工を施しながら壁に貼り付けていく工法です。

 

これを作った時のお話が、とても面白かったのでご紹介します。

https://okuno-sakan.jp/2017/07/21/蛇腹という左官仕上/

 

土佐漆喰

高知龍馬空港から車で東へ向かうと、独特の風貌の家が次々に現れます。土佐漆喰の外壁に水切り瓦と呼ばれる庇状のものが何段も並び、鎧のような段を壁につける鎧仕上げという手法も目につきます。土佐瓦などのどっしりした瓦と分厚い土佐漆喰を身にまとったヘビー級の家々は、どれもこれも城郭のような重厚なモノトーンとゴージャスな意匠に満ちています。

なまこ壁

土佐漆喰は、激烈な雨風から建物を守るため、磨きに磨かれた漆喰の外壁と水切り瓦という土佐漆喰の工法が考えだされ、受け継がれてきました。土佐漆喰の仕上げの外壁は民家にも見られましたが、土蔵の外壁が多かったそうです。そのほとんどは明治、大正期に建てられたものでした。

土佐漆喰は、まず石が違い、高知県に豊富に産出する良質の石灰岩からつくられます。

焼き方も違い、今の生石灰は重油を使って強制通風で焼成されますが、土佐独特の徳利型土中窯で、自然通風で低めの温度で4日間じっくり焼きます。消化・熟成にも手間暇をかけます。

そして土佐漆喰は、普通の漆喰と違って藁(わら)スサを混ぜます。塩焼き消石灰に発酵させた稲藁を混ぜて水練りし、数ヶ月熟成させると、自然と粘り気が出ます。そのため、土佐漆喰には糊を混ぜません。

稲藁のアクのせいでかなり黄味を帯びています。塗り終わってから1年ぐらいかけて真っ白になるといいます。厚塗りと徹底した磨きと水切り瓦や鎧仕上げを施して漆喰彫刻で飾るという「土佐漆喰でつくる」工法の独自性だけでなく、「土佐漆喰をつくる」製法の独自性も際立っています。

 

漆喰の持つチカラとは?

消臭性

漆喰の中にはたくさんの細かい孔(あな)があり、匂い成分を吸着して無臭化する働きがあります。

日常生活で発生するペットやタバコの臭い、洗濯物の生乾き臭、生ゴミ臭など、気になるあらゆる生活臭をおさえて、室内の空気をリフレッシュすることができます。

調湿性

漆喰がもつ無数の細かい孔(あな)が、ニオイ成分だけでなく湿気も吸収・放出して快適な湿度にコントロールします。夏場は多湿のジメジメを防ぎ、冬場は過乾燥や、壁面の結露を防止してくれるので、季節に関わらず居心地のよい室内環境を保ちます。

抗菌性

漆喰の主成分は強アルカリ性です。この環境下ではほとんどの細菌・カビやウイルスが生息できないため、病気の拡散を抑制することが可能です。鳥インフルエンザや口蹄疫が発生した時に石灰をまきますが、これはウイルスを殺菌するためです。

安全性

漆喰は、シックハウス症候群の原因とされるホルムアルデヒドなどの、VOCを吸着分解します。また、クロスや合板のように化学接着剤を使用しないので、シックハウス症候群の原因物質を放出しません。

*VOC:運発性有機化会物の総称。床や壁・天井などに使われる建材や家具の接着剤、防虫剤などに含まれる有害化学物質。ホルムアルデヒド、キシレンなどが有名です。

不燃性

漆喰は、糊やスサに、わずかな有機物を含みますがほとんどが無機質で、内装制限のある室内にも*不燃材として使用できます。万一の火災時にも、有機化学物質を一切含まない為、有毒ガスを発生することもありません。

防カビ性

長期間にわたって強アルカリ性を保つ漆喰は、真菌症や真菌アレルギー症などを引き起こすカビも抗菌作用を発揮して繁殖させません。適度な換気をすることで、カビを餌とするダニの抑制にもなり、ダニを原因とするアレルギー対策に効果的です。

 

まとめ

今回は漆喰についてご紹介してきました。いかがでしたでしょうか。

塗り壁のお話はまだまだ奥が深く、深く知れば深く知っただけ建物の深みが見えてくるのではないでしょうか。

古くからあった漆喰ですが、時代時代で使われていた材料が違っていたり、混ぜるもの、作り方など徐々に進化して、今の漆喰に辿り着いたのだと思います。現在の漆喰は、職人さんにとって塗りやすいものに変わっていってるのかも知れませんが、それでも漆喰を塗る職人さんは、下地と仕上げを含めて何度も塗っては乾かし、再度塗るというように手間暇をかけて仕上げてゆきます。そこには、職人さんの手によるものづくり。手作りの温かみというものが生まれているのではないでしょうか。

 

参考文献

「CONFORT 土と左官の本」建築資料研究社

田川産業株式会社(TAGAWA)https://shirokabe.co.jp

家庭科学工業株式会社https://www.kateikagaku.co.jp

 

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日本人にとって馴染み深い『畳』について知ろう

日本人にとって馴染み深い『畳』について知ろう

今回のブログでは私たち日本人に身近な畳についてお話しします。

畳と一口にいっても種類や敷き方などにはさまざまな違いがあります。

昔から使用されてきた畳ですが、最近では和紙でできた畳を使われる方も増えています。

それぞれの畳の特徴などをご紹介し、理解を深めていただけたらと思います。

畳の歴史

中世・近世では、居室の床は板敷きが標準であり、将軍や大名は、置畳といって広い部屋の一部に寝具や座具として畳を置いて使用していました。室町時代に書院造りが完成されてからは、小さな部屋から室内全面に畳を敷き詰めるようになり、置畳と区別して敷畳と呼ばれるようになりました。

 

畳の敷き方

畳を1室に敷き詰める場合の社会的な慣習を畳敷様(たたみじきよう)といいます。

婚礼などの祝い事では祝儀敷とし、逆に葬儀などの不祝儀の際には不祝儀敷とされます。畳を敷き替える風習は江戸時代頃から始まったといわれ、畳職人の間では、畳の敷き方に対して枕敷、回し敷、四居敷、縁敷などの呼び分けがあります。

 

畳の構造

畳床(たたみどこ)

畳の台となるもので、材料によって藁のみを使用する藁床、藁の間にポリスチレンフォ ームなどを挟んだサンドイッチ畳床、藁をまったく使わない建材畳床の3種類があり、サンドイッチ畳床と建材床を化学床と呼ぶこともあります。

藁床は、よく乾燥させた稲藁を植物油に浸した麻糸で締めながら縫い刺したもので、感触がよく丈夫で復元力がある点が化学床と比べて優れています。藁は縦横に積み重ねて糸で締められますが、この藁を3層に重ねたものを三段配、5層のものを五段配といい、 畳床の品質は重量があるほど、糸締めの縫目距離が短いほど上等品とされています。

一方、ポリスチレンフォームだけで構成されたものや、インシュレーションボードでポリスチレンフォームを挟み込んだ建材畳床は 断熱性に優れ、水を吸わず軽くて施工しやすいなどの長所をもちます。また、ポリスチレンフォームの上下を藁で挟んだものは、 藁床の味わいや吸放湿性があり、軽くダニの発生の心配のない畳床で、最も普及しています。

畳表

畳表は畳の表層に張る乾燥したい草を緯糸にし、織り上げるものですが、このい草の種類や品質、織目(数)によって畳表の質が 決まります。

材料となるい草はイグサ科の多年生植物で、熊本県・福岡県・高知県・岡山県などで栽培されています。真夏に刈り取り、染土と呼ばれる泥のなかに漬けて染め、乾燥させた後に選別したものを使用します。この泥染めの工程が畳独特の色合いと香りを生み出します。

 

畳の種類

現在使用されている畳は大きく分けて二種類になります。

それぞれの特徴をご紹介します。

い草を使った畳

日本で昔から使われてきた天然素材の畳です。

畳は、畳床に畳表を被せて縁を付け、 床一面に敷き詰める建築材料で、主に藺草(いぐさ)・藁布などを用いてつくられます。高温多湿の日本の風土に最も適した床材の1つとして、今日まで広く使用されています。 畳床の藁も畳表のい草も中空のストローのような構造であるため、弾力性・断熱性・保温性に優れ、 適度に水分を吸収して乾燥時に吐き出す、湿度調整の機能も併せもっています。

また、耐久年数は4、50年と、新建材の倍近くです。

このように優れた機能を持つ天然素材の畳ですが、天然の藁床を使用する際は虫の心配があります。

そのほか、藁を作る農家さんが減っており価格が上がっていることもあり、天然の藁床を使用する機会があまりない現状があります。

 

和紙を使った畳

DAIKENの和紙畳、『健やかおもて』をご紹介します。

和紙畳表は、イ草に近い手触りや質感を再現しつつ、高い機能性を付与した工業生産の畳おもてです。

カビの発生やダニの増殖を抑え、快適さを長くキープ。畳の醍醐味を存分に味わえる健やか仕様の本格派です。

DAIKENの畳おもては機械すき和紙をこよりにして、糸をつむぐように肌ざわりのやさしさを実現。しかも、こよりを樹脂加工することで撥水性や強さもあります。

 

畳のへりの種類

縁付畳(ヘリつきだたみ)と縁無畳(ヘリなしだたみ)

畳は長手(長さ方向)の縁に畳縁の付く縁付畳と付かない縁無畳があります。また、 片側のみ縁のある片縁畳もあり、主に、地板を狭くつくった床脇に差し込む際に用いられます。 縁無畳は坊主畳ともいわれ、柔道場や農家の作業場では以前から使われてきましたが、最近では、空間を広く見せるために使用することも増えています。

縁付畳
縁無畳

畳縁(たたみべり)

畳表の長手(長さ方向)の縁を、畳に固定する目的で付けられる布製の縁を畳縁といいます。

畳縁は大きく無地縁と柄縁に分けられ、柄縁には格式の高い紋縁も含まれます。 建物や部屋の格式、用途によって使用上の約束事がありますが、一般住宅の座敷では柄縁か無地縁、茶室には無地の紺縁、床の間の縁は紋縁(高麗縁)とします。

 

丸晴工務店の畳使用例

縁無畳を使用した和室

小上がりの畳スペース

布団で寝る寝室

 

最後に

には床材としての様々な良さがあります。程よい硬さとクッション性を兼ね備えているため非常に心地よく過ごすことが出来ます。そして何より独特の風合いが魅力的です。

昔から使用されてきた天然素材のい草を使用した畳、最近ではダイキンさんの健やかくんなど和紙でできた畳を使われる方も増えています。畳は、客間にしたり、食事をしたり、横になってくつろいだりもできる汎用性の高さがあります。そんな畳をお家に取り入れてみるのはいかがでしょうか。

 

参考文献:「和風デザイン図鑑」

参考文献:DAIKENホームページ https://www.daiken.jp/buildingmaterials/tatami/

 

そのほかの素材についてのブログはこちらhttps://www.marusei-j.co.jp/%e5%b1%8b%e6%a0%b9%e6%9d%90%e3%81%ae%e3%80%8c%e7%93%a6%ef%bc%88%e3%81%8b%e3%82%8f%e3%82%89%ef%bc%89%e3%80%8d%e3%81%a3%e3%81%a6%e3%81%a9%e3%82%93%e3%81%aa%e7%89%b9%e5%be%b4%e3%81%8c%e3%81%82%e3%82%8b/

屋根材の「瓦(かわら)」ってどんな特徴があるか知っていますか?

銅板・チタン・ガルバニウム鋼板を屋根材に使うなら?

前回、瓦屋根について書きましたが、屋根には他にも種類があり、耐久性とコストを考えて金属屋根にする方も増えてきております。

昔から使用されてきた趣きある銅板の屋根。それに変わるチタン屋根。最近では、ガルバニウム鋼板という金属の合わさった材料を使われています。

どれがいいかと比べるのもいいのですが、今回はどんなものなのか特徴をお伝えし、ご自身に合った屋根選びをして頂ければ幸いです。

銅板

銅の歴史は同時に人類の歴史といわれています。

古代の化学技術史による化学の起源は、

第一に「火を燃やす」ということ。

第二に「調理術」で熱もしくは酵素の作用で蛋白質と炭水化物を分解したこと。

第三は「製陶術」の発見ということで、粘土の焼き方を知ったことです。

三つの発見は黎明期(時代の始まり)における人類によってもたらされたものです。

金属については,浅い川床に輝く特殊な石に興味をもち、その石を叩いて薄い板にしたり、ピンの形をつくったりしました。

さらに地表に顔を出す奇効なかたちをした自然銅塊を発見し、一種の研究的思考かが始まり、こうした行動が銅という金属を発見する起源となりました。

これらの自然銅塊は光輝性緑色の「石」 である「くじゃく石(マラカイト)」であり、また、「藍銅鉱(アズライト)」でした。

マラカイト
マラカイト
アズライト

 

それでは人類が鉱石を製錬すると銅がつくり出せることに気付いたのはいつ頃のことでしょうか。

これには各種の学説があります。

一説によれば、最古の銅器類は「くじゃく石」を製錬してつくられたといわれています。

人類最初の文明はバビロニアのエラム地方で、この地域で製錬術が始まりさらにチグリス・ユーフラテス河流域で本格的な冶金学が 起こったと推定されています。

日本における銅建築文化

日本に青銅器文化が始まったのは弥生時代の初め(紀元前300年頃)で、終末は古墳時代の前期(紀元400年)でこの間約700年の間に、各種の銅器、青銅器かつくられましたが、日本の青銅器文化は、大陸からもってこられたことは確かとされています。

特に銅鉾(どうほこ)、剣、文などが西日本を中心に数多く発掘されていることからもその事実が読み取れます。

日本の原料の銅鉱

708年頃武蔵国秩父郡から初めて自然銅か発見され、元明天皇に献上され年号も「和銅」と改められました。

以後銅材で貨幣を鋳造する鋳造司が置かれたことは歴史的に有名で、時の通貨を和同開称と称されました。

その後関東では慶長十五年(1610年)に足尾銅山が発見され、さらに愛媛で元禄三年(1690年)に切上長兵衛という人により別子銅山か発見され、当時日本では最も最高の銅山といわれました。

こうした国産の銅資源による銅か建造物に利用されるようになったのは,加工技術の問題から鋳造による社寺仏閣の仏像、仏具、飾り金物、また塔、梵鐘などの青銅器に始まります。

特に大和地方は平城京による都が栄えたこともあり、興福寺の梵鐘(727年)、薬師寺 東塔(730年)、法隆寺夢殿(739年)、続いて747年には東大寺の大仏の鋳造が開始されました。

 

わが国最古の銅板屋根

屋根に銅板が初めて使われたのは、天平神護元年(765年)に奈良の西大寺創建に際し、銅塊を瓦状に鍛金加工し用いられたことが『七大寺巡礼私記』 に記載されています。

そもそもこの西大寺は称徳天皇が奈良の東大寺に対する寺として建立されました。

西大寺は薬師金堂と弥勒金堂の二つの金堂から成り、唐の建築様式を積極的にとり入れました。

このように、わが国における建造物への銅の利用は杜寺 仏閣から始まりました。

当初、屋根用に用いられた銅は精錬され、精銅としてさらに叩いて薄く加工し使用されました。

この伸板に加工される原料は、関東では慶長 十四年に足尾銅山が発見され、関西では元禄三年に別子銅山がそれぞれ採鉱を始め精銅を生産しました。しかし 当時の採鉱から精練に至る過程は大変な作業の繰り返しで困難をきわめました。

 

銅板屋根の性質

耐久性

銅は非常に強く、錆びにくいため、銅屋根は非常に耐久性があります。一般的に、銅屋根は50年以上持続することができます。

軽量性

銅は比重が軽いため、銅屋根は軽量で、建物の荷重を軽減することができます。

美観性

銅屋根は美しい光沢を持っており、建物の外観を向上させることができます。また、時間が経つにつれて、銅は自然に酸化し、独特の色合いを生み出すため、美しさが増します。

耐火性

銅は非常に耐火性が高く、火災のリスクを減らすことができます。
耐腐食性: 銅は耐久性があり、錆びにくいため、腐食に対する耐性があります。また、銅は塩水や酸性の環境にも耐えることができます。

経済性

ガルバニウム鋼板の3〜4倍

 

防火性のこんなお話

大正十一年九月関東大震災が発生し、東京周辺は 焦土と化しました。

当時いち早く震災の復興資材として 利用されたのが銅板で、店舗や住宅の屋根・壁面など化粧張り建築が競って利用されました。この時代の住宅に使用される銅板葺き屋根の一坪 当たりの重量は11キロ余りであったのに対、土瓦 葺き屋根の重量は225キロ内外で、 大変屋根の重い土瓦の住宅が多区ありました。

土瓦以外の屋根材としては 亜鉛鉄板とスレ ー トがあったのみで、特に関東大震 災では火災による焼失が多く、このため、復興本建築には防火性,耐久性に優れた銅板が多く用いられました。関東大晨災の復興になぜこれだけ多くの銅板が使用されたかについては二つの理由がありました。

一つは 、東京が地震と火災で全滅し機能が停止し、建築材料 の入手が困難な状況の中に、銅板だけは資材として 充分確保 され、しかも防火材として非常時に対してメ ー カ ー側の対応が早く積極的に活動したこと。

二つめは、当時内外の経済が不況で銅価が下落し、一般庶民でも充分使用できる価格でした。

こうして関東大震災の復興に役立った当時の銅壁建築は、 現在も東京の中央区, 台東区, 墨田区などに数多く現存しています。因に、 大正九年十二月一日に施行された市街地建 築法の「第八 防火地区」の項において金属板のことが記載され、銅板は防火材として法規で認められました。

 

チタン

チタンが使われるようになった経緯にはこんなところからだそうです。

銅は緑青になれば皮膜ができ、侵食されずに40年から50年と保っていました。

しかし、ある住宅で瓦葺き屋根の谷板に厚さ0.4mmの銅板を使ったところ、12年で穴が空いてしまったそうです。

他でも似たような現象が起こったので調べたところ、いずれも起り(むくり)屋根だったので銅の伸び縮みによってクセがつき、同じ箇所ばかり屈折して金属疲労が起こってしまっていたそうです。

また、もう一つの腐食の原因として、瓦に問題がありました。

それは、瓦を薪で焼いていた時代は良かったのですが、重油やガスで焼くようになるとそれらで焼いた瓦には、銅を腐食する化学物質が残っていたそうです。その化学物質と酸性雨が一緒になり銅を腐食させていたそうです。

そうして、銅からチタンが使われるようになっていったそうです。

Detail of a Titanium Roof

チタン屋根の性質

耐久性

瓦屋根の約1/13の軽さで、地震の揺れを軽減。

屋根部が重いと地震の際に建物上部の「横揺れの振り幅」が大きくなります。金属屋根で最軽量のチタン屋根は「横揺れの振り幅」を最小限に抑えられます。

チタンは非常に軽量でありながら、耐久性が非常に高い素材です。そのため、チタン屋根は耐久性が高く、長期間の使用にも耐えることができます。

耐熱性

金属屋根は真夏の猛暑時など表面温度が80℃を超えることがあります。その高熱により屋根材がミリ単位で膨張します。

そのため屋根材の固定箇所を傷めたり、屋根の歪みを引き起こすことがあります。

チタンは熱による伸縮性が小さく、銅板と比較して熱による伸び縮みは約1/2に抑えられます。

そのため、日射熱による屋根の歪みや、屋根の固定箇所の負担を半永久的に軽減いたします。

耐腐食性

チタンは腐食に強く、錆びにくい素材であるため、屋根の表面に付着する雨水や空気中の化学物質による腐食にも強いです。

美観性

チタン材の表面は安定した酸化皮膜に覆われているため、屋根に使われる金属素材の中では比類なき耐食性能を誇ります。

通常の建材使用環境で腐食する可能性は皆無です。

また、見た目の色彩に関しても塗装ではなくチタン材の酸化皮膜そのものの素地色のため紫外線や海塩粒子による劣化の心配はありません。

光沢のある美しい表面を持ち、豊富な色彩があります。そのため、建物の外観にも大変美しく、高級感を演出することができます。

経済性

ガルバニウム鋼板の4.5倍ほど

 

ガルバニウム剛板

ガルバリウムは、めっき金属として純亜鉛ではなく、アルミニウム +亜鉛+珪素 の合金をいいます。

アルミニウムはめっき層表面に強固な不動態皮膜を形成して、めっき層を保護する働きを持っています。

亜鉛は、犠牲防食と言って、水中などの腐食環境下において鉄よりも先に亜鉛が溶け出すことで、原板である鉄の腐食を防止します。

そのため亜鉛が腐食し、腐食生成物がめっき層の腐食進行を抑制し、亜鉛が腐食して空いた穴の部分をアルミニウムが保護するため、全体として高い防食性を発揮します。

そのガルバニウムを施した鉄(鋼板)の建材をガルバニウム鋼板と言います。

詳しく書いた記事はこちらhttps://www.marusei-j.co.jp/外壁材のガルバニウム鋼板について/

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?

金属屋根と言ってもたくさんの種類があり、今回は主な金属でしたがそれぞれの成り立ちや特徴など理解していただけたのではないでしょうか?

最近ガルバニウム鋼板が選ばれている理由としてもやはり、建材などが値上がりし経済面を考えて、でも耐震性や耐久性を落としたくない。そういった希望もあって総合的に選ばれている方が多いということなのかもしれませんね。

これらを参考にご自分に合った屋根材が見つかるといいですね。

そのほかの屋根材

 瓦屋根について https://www.marusei-j.co.jp/屋根材の「瓦(かわら)」ってどんな特徴がある/

 

参考文献:建築資料研究社「和風建築シリーズ”屋根”」

    :株式会社カナメhttps://www.caname-jisha.jp/titan/

屋根材の「瓦(かわら)」ってどんな特徴があるか知っていますか?

お家づくりの打ち合わせが進んでくると、屋根はどんなふうにしましょうか?

という話になってきますよね。

色々見てみるけど、やっぱり何がいいのわからないなぁ、、、という方も多いのではないでしょうか?

ここでは、昔からある屋根材の 瓦の特徴やメリットデメリットをお伝えし、理解を深めていただけたらと思います。

屋根の歴史

日本各地の伝統的民家は屋根のかたちに特徴がよくあらわれています。

屋根をみればどの地域のものかおおよその見当がつき、茅葺き屋根は,北日本のものは屋根曲線がキツく鋭い。これに対して南日本のものは丸みを帯びていて柔らかさを感じさせます。このような違いは、屋根の葺き方や技術、用いる材料の違いなどとともに、それぞれの地域の風土と文化を反映しています。

かつては屋根材料としての茅は全国のどこにでもあったため、茅葺きの家が圧倒的に多くありました。

ちなみに、「カヤ」という学名の植物はなく、アシ、スギ、カリヤス、ススキなどを屋根葺き材料としたときに、これらの植物はすべて茅になります。

農家は茅葺きが普通でしたが、18世紀中頃になると一部の農村の家に瓦茸きがあらわれます。

三重県上野市の町井家は延享元年(1744年)の桟瓦葺き、庇は本瓦葺きの建築であり、農家としてはもっとも早い瓦葺きの例でした。

 

瓦屋根

瓦の歴史

瓦は、古代から建築材料として使用されてきました。最初期の瓦は、地元の素材である粘土や泥を形成して乾燥させたものでした。

初めて瓦が作られた説には、いくつかの諸説があります。

中国の説では、約4000年前に瓦を作ったという記事が中国の古文書『古史考』にあるということから、これを起源とする説。

またメソポタミア説では、紀元前3000年頃にはエジプトやメソポタミアなどの古代文明で瓦が使用されていたとされています。古代エジプトでは、ナイル川の粘土を用いて、屋根や壁などに瓦を使用し、古代メソポタミアでも同様に、日干し煉瓦や粘土瓦を使用していたとされています。

その後、瓦の使用は世界中に広がり、瓦の形状や種類も多様化していきました。

日本で初めて瓦が葺かれたのは

日本で初めて建物の屋根に瓦が葺かれるようになったのは、 今から約1400年前 の昔、 飛鳥の飛鳥寺(法興寺)造営時に朝鮮の百済から寺院建築の技術と共に瓦 作りの技術が伝えられたことによるとされています。

『日本書紀』によれば崇峻元(588)年に4人 の「瓦博士」が渡来したと記されており、後に飛鳥寺は平城遷都とともに、元興寺(がんごうじ)として奈良の地に移されました。

桃山時代

 桃山時代になると、戦国の武将達によって火に強い 瓦が城に使われるようになりました。

安土城の瓦は明の製瓦法(中国明代に開発された陶器製造技術)を伝えたもので、この技術の特徴は、瓦を製造するために、木型と粘土との間に雲母粉を使い、瓦を燻して焼く(燻し瓦)方法で、型を使用して一定の形状に成形するものでした。この製法は、瓦の形状やサイズを一定に保ち、効率的な生産を可能にしました。

この明の製瓦法は、中国の建築や都市化の発展に大きな役割を果たし、現代でも中国や東南アジアなどの地域で使用されています。

江戸時代

江戸時代において江戸の武家屋敷は瓦葺きであった 一方、一般庶民の家は「禁行令」のもと板葺きや昔ながらの草葺きであった上に町家が建て込んでいたために火災に見舞われました。

それでも幕府は民家は当然のこと、国持大名に土蔵以外の建物の瓦葺きを禁止していました。

しかし、この「禁行令」も60年程で廃止され城郭や寺、武家屋敷に限られていた瓦屋根は民家にも使われるようになっていきました。

 

瓦の形

現代でも、瓦は建築材料として広く使用されています。しかし、近年では、環境に配慮した建材の需要が高まる中、瓦に代わる材料が研究され、開発されています。

日本の瓦にはいくつかの形で出来てますが、代表的なものには以下のようなものがあります。

本瓦(ほんがわら)

伝統的な日本の陶器瓦で、赤や茶色などの色があります。

平瓦と丸瓦を交互に組み合わせて並べる葺き方を本瓦葺き、又は本葺きとも呼び、その材料が本瓦となります。

裏瓦(うらがわら)

裏瓦は屋根の裏側に使われる瓦のことを指します。裏瓦は、主に雨漏りや風雨による飛散物から屋根を守るために使われます。また、裏瓦には、屋根の通気性を確保するための役割もあります。

棟瓦(むながわら)

屋根の棟(むね)に使用する瓦で、形状が特徴的です。

以上のように、日本の瓦には様々な形があり、それぞれの役割があります。

また、製造方法や材料によっても瓦の種類が変わります。

瓦の種類

いぶし瓦

炭火で表面を燻して作られるため、独特な風合いがあります。黒瓦、銀色瓦とも呼ばれ、よく焼成されたものはいぶし銀のような色と独特なつやをもち、その風合いは時間が経つにつれて増していきます。

また、燻すことで表面に膜ができ、風雨や紫外線から保護され、膜ができることで燃え広がりにくくなり、防火性が高くなります。そして、自然素材で作られているため、環境に優しく、廃棄物も出ません。耐久性があり長期間使用を期待することができます。

釉薬瓦(陶器瓦)

土や粘土を原料とした天然素材を原料として製造された瓦で、軽くて強度があります。

釉薬を塗ることで瓦にツヤを与えることができるだけでなく、好みの色に仕上げることができ、種類が多いことも釉薬瓦の特徴です。また、優れた断熱性を持ち、表面が滑らかで密度が高く、雨や湿気を防ぐ防水性高いため、屋根や壁面に使用されます。

セメント瓦

セメントを原料とした瓦で、比較的安価であり、耐久性が高いため、住宅やビルの屋根や壁面に使用されます。

他の瓦とは違い、焼かずに仕上げるため、製造中の縮みがほとんどなく、ほぼすべての瓦が無駄なく使えるというメリットがあります。

スレート瓦

粘板岩を原料とした瓦で、防水性が高く、美しい光沢があります。主に屋根瓦として使用されます。

素焼き瓦

粘土で瓦の形を作り、そのまま焼いたものを「素焼き瓦」と呼びます。

赤みが強いため「赤瓦」と表現されることも多いです。独特の赤みから洋風建築と相性が良く、南欧風の建物に合わせてテラコッタ瓦やスパニッシュ瓦と呼ばれることもあります。S字形をした瓦で、屋根の表面積が少なく、美しい外観が特徴です。

日本三代瓦

瓦は、その土地土地で取れる素材を使い、その土地ならではの瓦を生産してきました。

その中でも日本三代瓦として、有名な産地があります。

三州瓦

三州瓦は、愛知県西三河地方で主に生産される瓦の総称で、この地方の旧国名「三州」に由来します。

この地域では、瓦に適した良質な粘土が大量に採れ、又配合粘土、釉薬、窯業機械などの関連産業が集積し、瓦産業が発達してきました。
形状・色彩の多様化、使用する場所に応じた細分化、手造り技術の蓄積など、日本の屋根の伝統文化を継承しながら、機能的進化し続けており、現在では全国の粘土瓦生産量の約70%を占める最大産地となっています。
約1150度の高温で焼き締められた三州瓦は耐久性に優れ、焼き物ならではの質感が生み出す、美しさ・高級感などデザイン性も高く評価されています。(三州瓦工業協同組合

淡路瓦

「淡路瓦」は、兵庫県淡路島で生産される400年の歴史を持つ伝統的な屋根瓦のことです。

淡路瓦は、「なめ土」と呼ばれる粒子の細かい粘土がいぶし瓦に適しており、いぶし瓦の生産量は全国一を誇ります。

淡路瓦の焼成温度は1000℃前後と三大瓦のなかでは最も低いですが、高温で焼かれた瓦なので防火性も十分あります。(淡路瓦工業組合

淡路瓦のできるまで

https://youtu.be/hjom-6mw248

石州瓦

島根県西部の石見地域で生産される石州瓦。日本第2位の生産力を誇る地場の伝統産業です。
山間部は雪深く、日本海に面した町は日本海の荒波にさらされ、しばしば台風の通り道になる石見地方。
東西南北で様々な環境変化がある土地は珍しく、この環境の中で作られた石州瓦は様々な頑丈さをもつように400年前から作られ続けています。
石見地方の町並みを見ると、赤茶色の屋根がたくさんあることに気がつきます。石州瓦の特徴、釉薬瓦の町並みです。(江津市 地場産業振興センター

 

瓦のメリットデメリットは?

これまで述べた特徴をふまえると、

1000℃を超える高温で焼かれた瓦は、熱に強く万が一の火にも耐火性能を発揮してくれるでしょう。

また、雨の多い日本では防水性が最も重要ですが、瓦屋根は裏に回った水が表に排出される仕組みになっており、防水性に優れており、裏瓦で屋根の通気性を確保してくれるので室内の結露防止にもつながります。

そして、今最も騒がれている断熱性ですが、瓦は直射日光を反射し、熱を吸収しないので室内への外気の影響が少ないと言えます。

そして何よりも、美しい外観です。

これは、最近建てたお家の外観で、一文字瓦と言って軒先をきれいに揃えたディールの瓦葺きになります。

日本人ならば、これを見て美しいと思わない人はいないのではないでしょうか?

デメリットとしては、重量があるため、強度の低い建物には設置できない場合や施工に時間がかかるため工期が長くなる場合があります。

そして、イニシャルコストは他の屋根材より高くなることが多いですが、耐久性が50年以上あることを考えると、ランニングコストやメンテナンスコストとの比較で安価になる場合も考えられます。

メリットデメリットを知った上で、他の屋根材と比較して考えてみるのもいいですね。

参考文献:建築資料研究社「和風建築シリーズ”屋根”」

 

その他の屋根材、ガルバニウム鋼板はこちらのブログ

https://www.marusei-j.co.jp/外壁材のガルバニウム鋼板について/

丸晴の職人さんの動画はこちら

https://youtu.be/QxEJ9ik4Onk

 

北欧家具NIKARIが願う木や森と共存するサスティナブルなあり方

つい先日発売された雑誌「隔月刊CONFORT」に北欧家具で有名なNIKARIが特集されていました。

一昨年、丸晴工務店にもNIKARIの日本で唯一の生産・販売のライセンス契約を締結している『京都・永野製作所』さんがいらっしゃいました。

購入した家具をはるばる京都からニカリのデザイナーでもある永野さんが、濃沼社長との繋がりでお届けに来てくださいました。その時の様子はこちらhttps://youtu.be/3zHBXOzQqvU

丸晴工務店に来て頂ければ見ることもできますので、ぜひ見に来てください。

 

NIKARIは創業1967年に家具職人のカリ・ヴェルタネンによって創業しました。

本拠地となったのは、ハサミで有名な「フィスカース」が300年以上製造を続けたものづくりの歴史ある土地フィスカス村。「フィスカース」が移転し、クラフトやアートの村としての再生が始まり、1993年にその先駆けとして移転してきました。

NIKARIはカリ・ヴェルタネンの後継者として2009年より代表のヨハンナ・ヴオリオが起用されてから世界的に認知されるようになりました。

そして、最も有名な「セミナーチェア」は、NIKARIで初めて量産することになった記念すべき椅子で、ヘルシンキ現代美術館の国際コンペで設計者に選ばれたスティーブン・ホールが、カリが学生に椅子づくりを教えるために作ったものをスタッキングタイプに改良したものです。

カリの願いはビジネスの拡大より、40年を掛けてつくり上げたニカリを次世代につなげていくこと。

伝統技術を継承する現代的な家具づくり、木や森と共存するサスティナブルなあり方を伝えていくこと。

この願いは、今多くの物づくりの人々に伝わっており、丸晴工務店も共鳴し伝統技術を継承した物づくりを続けて

いきます。

丸晴の家具のブログ:https://www.marusei-j.co.jp/センスのいい家具はモデルハウスから学ぼう〜yチ/

金に似た美しい光沢を放つ真鍮の特徴とは?

上手工作所 https://www.jo-zu-works.com/view/item/000000000092?category_page_id=ct10

木のインテリア空間によく似合う真鍮。

「名前も聞いたことあるし、何となく雰囲気のいい金属くらいしか知らない。」

という方も多いと思います。

そもそも真鍮とは何なのか?

どんな特徴があるのか?

どんなところで使うのが良いのか?

木の空間に相性ピッタリな真鍮の魅力をご紹介します。

真鍮とは

銅と亜鉛を混ぜ合わせた合金で、亜鉛が20%以上のものを指します。

別名「黄銅(おうどう)」や「ブラス」とも呼ばれます。

この「ブラス」は英語表記で「Brass」と書き、音楽のブラスバンドで使われるトランペットなどの楽器は真鍮で作られています。

その他にも、身近なところで五円硬貨にも真鍮が使われています。

銅と亜鉛の割合で大きく特性が変わり、亜鉛の含有量が少ないと赤みがかって柔らかく、亜鉛の含有量が多いと黄金色に近く硬くなります。熱によって加工しやすいため精密機器の部品や時計などの部品、建築で言えば蛇口や建具などに使用されます。

しかし、亜鉛の量が多くなるにつれて硬さは増し、その分脆さも増すため亜鉛45%以上では実用に耐えられません。

割合としては、銅65%・亜鉛35%が最も一般的と言われています。

Louis poulsen
Louis poulsen https://www.louispoulsen.com/ja-jp/private

真鍮の種類

丹銅(たんどう)

色は赤みが強く、真鍮の中でも光沢の美しさが特徴です。そのため、建築材料や装飾品に使用されます。

黄銅(おうどう)

アクセサリーや時計のパーツなどに使われていて、一番身近な真鍮です。

七三黄銅(銅70%・亜鉛30%)や六四黄銅(銅60%・亜鉛40%)といったものがあります。

快削黄銅(かいさくおうどう)

銅が57-61%、鉛が1.8-3.7%、が0.5%以下、鉄+錫が1.0%以下、亜鉛は残部)

その名の通り、切削加工がしやすい真鍮のためネジやカメラ部品などの精密部品に使われます。

ネーバル(naval)黄銅

少量の(すず)を添加し、硬度、強度、耐海水性を高めたもの。主に船舶部品に使われます。

そのため海軍黄銅とも呼ばれます。

 

経年変化

施工事例:取り付け直後
施工事例:4年経過後

真鍮が経年変化をする主な理由は空気に触れた時の酸化や人の手垢、埃によるものです。

経年変化をすると汚れたように感じてそれが好きじゃないという方もいらっしゃるかもしれませんが、経年変化は木の経年変化と同じで、使ってきた人たちの時間の刻みが味になり、趣きのあるアンティーク調となるため、経年変化後の方が好きという方もたくさんいます。
お好みで経年変化を楽しんでみるのもいいかもしれません。

 

メンテナンス

真鍮は水に弱いので、経年変化を楽しまれる方は綺麗な布で乾拭きをしてください。

また、元のピカピカした感じがお好きな方は、家にあるお酢でまず試してみてください。

お酢を入れた容器に全てが浸るように2〜3分ほどつけます。その後取り出しお酢をお水で洗い流して布で磨きます。

(取れにくい場合は、お酢に塩を入れて傷がつかないように軽く磨いてみてください。)

頑固な黒ずみの場合は、重曹と水を2:1の比率で混ぜペースト状にして磨きます。

こちらも傷がつかないように優しく磨いてください。

市販の金属研磨剤を使えば元の輝きを取り戻すこともできます。

 

おまけ

Louis poulsen

丸晴工務店でもご紹介できるLouis poulsenから、展示店舗および登録オンラインショップのみの限定販売される真鍮ランプがでました。

ポール・ヘニングセンが手掛けたPHランプシリーズの中から、特別仕様のPH3/3ペンダントとPH3/2テーブルを”2022年のPHリミテッドエディション”として販売を開始します。2023年1月31日までの期間限定にて販売です。

ぜひ検討してみてはいかがでしょうか?

https://www.louispoulsen.com/ja-jp/private

PH3/3ペンダント
PH3/2テーブル

 

上手工作所

トップの写真は、「上手工作所」という真鍮の金物をたくさん扱うお店です。

タオルハンガーやドアハンドル、トップの写真にもなっているコートハンガー、収納家具からテーブルや椅子、照明までありますのでぜひ見てみてください。

https://www.jo-zu-works.com

 

こちらのブログにも照明など載ってます。

https://www.marusei-j.co.jp/センスのいい家具はモデルハウスから学ぼう〜ル/

 

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