瓦屋根は地震に弱い。
本当にそうなのでしょうか?
「瓦屋根は重いから地震に弱い」という話は、昔からよくある話ですが、それは単純に耐震性能の低い古い建物は、瓦屋根が多かった。瓦屋根の重さに耐えられる耐震性能がなかった。というだけの話です。
地震が起こり、地面が揺れるとそこに建つ家の重さに加速度が掛け算され、地震力が発生しますが、それぞれの家の重さに耐えうるだけの骨組みがなければ、軽量の屋根、重い瓦屋根どちらも同じです。
重いから地震に弱いのではなく、それに耐えうる体を持つことがとても重要になってくるのだということです。
目次
軽量かつ飛散しない防災瓦が主流
軽量化や瓦のかみ合わせなどが改良され、地震時のズレや台風時の飛散防止を強化した防災瓦が普及しています。
たとえば、三州瓦メーカーの鶴弥では、上下の瓦どうしをロックできる形状(スーパーロックエ法)になっています。
釘止めに加え、屋根全体が強固に組み合わせさることで耐震・耐風性能が向上します。
2寸勾配に対応 軽量かつ飛散しない瓦
防水性のために勾配を4.0寸以上にする必要が昔はあったが、水返しを工夫した2.0寸勾配対応
の瓦も登場しました。片流れや緩勾配屋根もつくれます。
震度7にも耐える施工方法にアップデート
2022年1月に「瓦の緊結方法に関する基準の強化」(昭和46年建設省告示第109号)が施行されました。
これは’01年公表の瓦屋根標準設計・施工ガイドラインを法律化したもので、緊結の箇所は、軒、けらば、棟、平部のすべての瓦が義務化となりました。このガイドラインは多くの実験、研究を繰り返して確立されたもので、霙度7 の大地震にも対応できる工法とされています。これを反する施工は契約不適合になり、無償補修の対象となります。
土を使用しない乾式工法で棟をつくる
地震や台風で被害が特に生じやすいのは、のし瓦を積み重ねた棟部です。昔は棟瓦を土と鋼線で躯体に固定しているだけでしたが、現在はガイドラインによる湿式工法と、敷き土を使用しないで金具だけで棟瓦を一体化させる乾式工法の2つが主な施工方法となっており、耐震・耐風性能、施工性がアップしました。ただし、乾式工法の形状はメーカーで決まっているので、入母屋など複雑な棟形状やのし瓦を高く積みたい場合などは、湿式工法でしかできないので建て主と事前の確認が必要です。
金属屋根と仕様をほぼ変えず瓦屋根で耐震等級3を達成できる
瓦屋根は金属屋根に比べると重量が大きいので、水平構面と壁の耐力 などに影響を受けます。
当社では、約5年前から全棟で許容応力計算を行い、耐震等級3、耐風等級2を取得していますが、瓦屋根でありながら耐震等級3を目指す のは、さほど大変なことではありません 。床の水平構面を強めるために火打ちを入れたり、野地板の水平構面を強めるためにビスで耐力を高めたりする程度で、問取りの制約などはありません。等級3を目指すとき、グレー本といわれる『木造軸組工法住宅の許容応力度設計』(2017年度版)で示されている方法だと耐力が限られているので、メーカ ーで構造耐力の評価を得たものを使用しています。
薪ストーブを 瓦屋根に納める
緑豊かな公園の遊歩道沿いに建つT邸。敷地は間口12m、奥行き20mという少し長細い形状で、北東側が道路に接しています。
マンション暮らしだった夫妻が終の棲家を日本らしい屋根で街並みに貢献したいという理由で瓦屋根を採用し、
三州瓦の防災いぶし瓦「J型53A」(創嘉 瓦工業)を使用しました。
薪ストーブを設けており、煙突部分の瓦は寸法出しから割り付けをして納めています。4寸勾配のゆったりとした瓦屋根が、地域の風景になじんでいます。
参考文献:x-knowledge「建築知識Bビルダーズ ベタ基礎が危ない!」
https://www.marusei-j.co.jp/wp-marusei-updateadmin2/wp-admin/post.php?post=7381&action=edit
その他の瓦のブログはこちら
https://www.marusei-j.co.jp/屋根材の「瓦(かわら)」ってどんな特徴がある/
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