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日本人に親しみのあるヤマザクラ

2022年2月19日

寒い冬が終わり、いよいよ春がやってきます。
日本で春といえばお花見、桜の季節ですね。

建材として使用される桜についてお話していきたいと思います。
桜には様々な種類があります。
一般的によく見られるソメイヨシノとはオオシマザクラとエドヒガンの雑種とされ、日本各地で見られます。
しかし、ソメイヨシノはねじれ上がりながら成長するので、割れたりしてしまい建材には向いていません。
今回は古くから日本の建築で使われてきたヤマザクラについてご紹介していきたいと思います。

ヤマザクラ(山桜)(本桜)

学名 prunus jamasakura
            (別名:Cerasus jamasakura)
科名 バラ科(サクラ属)
   広葉樹(散孔材)
産地 本州(宮城県・新潟県以南)、四国、九州

ヤマザクラは古くから日本で野生に生息していた桜で、日本の桜の原種として古くから日本人に親しまれている種類です。
4月に花期を迎えると白色や淡いピンク色のヤマザクラが咲きます。
樹高が20メートルを超えることもあり、サクラのなかでは高木に分類されます。大きなものでは30メートルに到達するものもあります。
また、ヤマザクラは先ほどのソメイヨシノとは違い、材質が素直で反りや狂いや少なく、建材としても使用されています。

・性質


ヤマザクラは程よい硬さで粘りがあり強度があるので上質な建材として言われています。
具体的に、硬さなどでいうと床材などでよく見られるアメリカンブラックチェリーなどと同じ質感です。
削れやすく、加工しやすい、生木はかなり暴れるが粘りがあるので割れにくいといわれています。
彫ったところの縁が欠けにくいことから、昔から版木や菓子型に使用されてきた。
他にも家具、茶室(床柱、落とし掛け)、鴨居、造作材、楽器などにも使われていました。

・木目

心材と辺材の境界は明瞭で、心材は赤褐色、辺材は淡黄褐色、黄色、緑色、薄いピンクが点在し、いろいろな色を持っています。
また、繊維の密度が濃く、材質が精密なので肌目が滑らかで表面の仕上がりがスベスベしています。
時間が経つ程、飴色に変化し、上品な雰囲気に落ちつき日本人のいています。
木目はあまりはっきりしておらず、程よく見える感じです。稀に見かける縮杢は天板、カウンター材に珍重されます。
このことからヤマザクラは高級品と呼ばれ、現在市場では入手困難でサクラ材を注文すると代用のカバ材が供給されます。


(床材:サクラ材)

・皮

ヤマザクラは中の木だけでなく皮に高い価値があり、赤みがかった皮には美しい紋様があります。
茶室などで使われる床柱などでは皮を剥がずに磨き上げることでより高級感のある木でもあります。
また、皮を剥いで作る小物も非常に美しく価値があります。
 (山桜の茶筒)

・まとめ

ヤマザクラは皮まで使えて捨てるところが少なく、
時間が経ち経年変化するほど味が出ていく木です。
大切にい使っていきたいですね。

参考文献:木材大事典200(誠文堂新光社)、日本の原点シリーズ 木の文化(新建新聞社)

 

 

丸晴のYouTubeはこちら

https://youtu.be/ISS9FwvblYM

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