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工務店が教える賢い断熱材の選び方〜セルロースファイバー〜

2021年3月13日

ここ最近、

色々なところで断熱材について

掲載や動画配信されており、

今では、お家を建てたいといらっしゃるお施主様の方から

詳しい数値などお問い合わせ頂くような時代となりました。

しかし、「断熱材ってどんな種類のどんなものがいいの?」と

思っている方も多いと思います。

今回は、鉱物系(グラスウール・ロックウール)、石油系(ポリスチレンフォーム・高発泡ポリエチレンフォーム・硬質ウレタンフォーム・フェノールフォーム・ポリエステル)、自然系(セルローズファイバー・ウール)などたくさんの断熱材の中でも、高い断熱を誇るセルローズファイバーについてお話しします。

セルローズファイバーとは

セルローズファイバーは、

1970年代よりアメリカで使用され始め、現在のアメリカでも多く使用されている断熱材です。

原材料の約80%が新聞古紙で出来ており、他は、防火・防虫・防カビのためのホウ酸、水に溶けやすいホウ酸を助ける役割の撥水剤ステアリン酸アルミニウム(日焼け止めやファンデーション、ベビーパウダーなどにも使用されるくらい直接肌に触れても平気な物質)を綿状にした循環型エコロジー断熱材です。

この新聞古紙をファイバー(繊維)状まで粉砕し、ホウ酸をまぜ合わせることで、火に強く、鼠・ゴキブリ・シロアリなどの害虫から守ってくれる断熱材となります。

 

施工方法

綿状のセルローズファイバーを吹き込むための処理を行った後、柱と柱の間に吹き込んで充填していきます。

ボード状の断熱材に比べて密度が55〜60K/m3と高い精度で施工するため、防音の効果が得られます。また、吸放湿性能があるため、水を吸ったり吐いたりでき、壁の中の結露発生防止と木材の腐れ防止にもつながります

基本的な断熱のお話にはなりますが、そもそも気密がきちんと取れていないとそれぞれの断熱効果が発揮できません。そのため、どの断熱がいいかというよりも、どこの施工会社でどの断熱を選ぶかということになります。そんな中で、吹込みを行うセルローズファイバーだと隅々まで断熱材が行き渡り、断熱気密が取りやすいということです。

下のサーモグラフィーは、断熱材が入っていないところに熱が対流しています。

 

吸放湿性能って湿気を吸って下がったりしないの?

基本的には、セルローズファイバーが下がる可能性は低いです。

なぜなら、吹込み充填方法で隙間を作らず、密度が55〜60K/m3と高く、

セルローズファイバーを吹いた後、防湿層を必ず設けて湿気を通さないようにします。

ほんのわずかな湿気に対し吸放湿を行うだけなので、下がる可能性が低いと言われています。

弊社で使用している、株式会社マツナガさんの麻入りセルローズファイバーの実証結果です。

 

新聞古紙なのにどうして高いの?

新聞古紙と言っても、街のコンビニや売店などで売れ残った新聞紙のみがセルローズファイバーになり、家庭に配られた後の古紙は、チラシが入っていたり、汚れや油など付着している可能性があるため使用できないのです。そのため回収費用であったり、製造する費用、需要の関係でコストがかかります。しかし、他の断熱材で大工さんが施工する場合、施工費が断熱材としてでなく、まとまっている場合があり、比較する内容が材料費のみしかない場合があります。そのため、一概にセルローズが高いというわけではないのです。

 

最後に、断熱性能が高い住宅は快適で健康的

同じ室温であっても、断熱性能によって体感温度や床・壁の温度に大きな差が出ます。

例えば、断熱性能の低い家だと、室温が20°で、体感温度15.4° 、表面温度10.8° となり、差が9°もあります。一方、断熱性能の高い家だと、室温が20°で、体感温度19° 、表面温度18°となり、差は2°程度となります。こんなにも違うのです。

また、断熱性能の低い住宅では「上が暖かく下が寒い」という高さによる温度差も生じてしまいます。

部屋の下方(床付近)は床下から伝わる冷気によって冷やされ寒くなります。また、壁から伝わった冷気で冷やされた空気も下方に溜まり、暖房で温められた空気は上方に上がります。よって私たちが生活する床付近は寒く、天井付近ばかりが暖かいという無駄を生んでしまいます。また暖房をしていない部屋は、外気温の影響を受けて室温が下がりやすいため、暖房をしている部屋との温度差が大きくなってしまいます。この温度差が原因で起こる現象をヒートショックといい、最も死亡率の高い現象と言えます。

一方で、断熱性能の高い住宅は、外気温の影響を受けにくく、暖房をしている部屋と廊下など暖房のない部屋との温度差が小さく、「温度のバリアフリー」が実現できます。そのため、健康的な生活を送ることが可能となります。

 

このような断熱性能が高く快適で健康的な暮らしを実現するためにも、適切な施工会社と適切な断熱材を選択することが重要となってきます。

(資料提供/株式会社マツナガ

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